裁判所HP 知的財産裁判例集より

「モズライトギター」事件

東京地裁平成19.10.25平成19(ワ)5022商標権侵害差止等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 設楽隆一
裁判官     間史恵
裁判官     古庄研


■事案

モズライト・ギター(エレキギター)の標章に関して
商標法4条1項10号該当性、原産地誤認表示性などが
争点となった事案

原告:楽器輸入製造販売会社
被告:木工製品製造・販売会社ら


■結論

請求棄却


■争点

条文 商標法4条1項10号、不正競争防止法2条1項13号

1 原告登録商標の無効性
2 被告標章の使用が原産地誤認表示行為にあたるか


■判決内容

<争点>

1 原告登録商標の無効性

原告登録商標「VIBRAMUTE」、「マルMマークmosrite of California」、
「mosrite」がいずれも商標法4条1項10号(未登録周知商標の保護)に
該当し無効であると判断されています。
(27頁以下)


2 被告標章の使用が原産地誤認表示行為にあたるか

被告製品のエレキギターに付された被告標章
「マルMマークmosrite of California」からすると、カリフォルニア
州で製作された表示になるが、被告商品は長野県で製作されたもので
あることから、こうした表示が原産地誤認表示にあたるのではないかが
争点となりました。

裁判所は、「of California」は、「カリフォルニア州製の」という意味
よりは、単に商品イメージを表す付加的表示にすぎないとして結論的には、
不正競争行為性を否定しています。
(31頁以下)


■コメント

モズライト・ギターへのあこがれは強く、ファンにはたまらないもの
かもしれません。

原告のサイトを見ると「USAモズライト製品総輸入・発売元」、
「国産モズライト製品総発売元」とあるわけですが、国内での原告の
立場は判旨を読む限り少なくとも国産製品に関する法律関係について
はよくわかりません。原告はモズライト社等からモズライト商標につ
いて譲渡や使用許諾を受けていません(28頁)。

原告商標が無効と判断されており、そのうえで原告が被告の不正競争
行為性を争うのは難しかったかもしれません。

なお、当事者間の過去の経緯については、本件原告側補佐人弁理士でも
ある牛木理一先生のサイト(下記)を拝見すると事情がよくわかります。


■参考サイト

牛木内外特許事務所
MOSRITE商標無効事件


■追記08/09/02

控訴審
知財高裁平成20.8.28平成19(ネ)10094PDF