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2007年09月14日

「漫画ネット無断配信」事件〜著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

裁判所HP 知的財産裁判例集より

「漫画ネット無断配信」事件

東京地裁平成19.9.13平成19(ワ)6415損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 設楽隆一
裁判官     間史恵
裁判官     杉浦正典


■事案

漫画単行本を無断で裁断のうえスキャニングし画像データ化して
送信可能化し、ウエブサイト「464.jp」で自動公衆送信を行った事案

原告:漫画家ら11名
被告:コンテンツ企画制作会社ら4名


■結論

請求一部認容


■争点

条文 著作権法第23条、114条3項、114条の5

1 侵害行為の法人の幇助者性
2 損害論


■判決内容

<経緯>

H17.4     被告ネットカフェ経営会社(代表取締役L)がサーバーを購入
H17.8     被告コンテンツ企画会社(代表取締役M、取締役L)が
       ブロードバンド回線契約締結
H17.9     被告M,L2名(個人)が漫画単行本を裁断のうえ
       スキャニングして送信可能化し、自動公衆送信を行う
H18.1.23   被告等が会費の徴収を開始
H18.1.25   配信中止、(警察の捜索)


<争点>

1 侵害行為の法人の幇助者性

被告法人2社は著作権侵害行為に関与していないと反論していましたが、
漫画著作物の違法配信について事業内容を知りつつ回線契約やサーバー
を提供していたことなどから裁判所は著作権侵害行為について被告法人ら
の幇助行為性を認めて共同不法行為が成立すると判断しました。
(16頁以下)


2 損害論

漫画単行本の電子書籍化の際の販売価格や著作者印税を参考に1冊あたり
販売価格300円(税別)、利用許諾料35%として使用料相当額を計算。
アクセス数を推計したうえで損害額を算定しています。

結論としては、原告側の各自、一部請求部分200万円(一部の原告については
異なる)の主張が容れられています。
(19頁以下)

なお、被告側からは出版物貸与権管理センターの使用料規程を基礎とした
損害額の算定を主張していましたが、貸与権と公衆送信権の法的な違いな
どから裁判所はこれを認めませんでした。
(29頁)


■コメント

確信犯による漫画違法ネット配信の事案で、主たる争点は損害論
くらいでしょうか。
事案のなかで電子書籍化の際の作家さんの印税率やアドバンス支払
いなどに触れられていて、なかなか興味深いところです。

もっとも、こうした漫画作品の電子書籍化のなかでもつまはじきに
されるのが編集プロダクションの方達。ここで出てくるビッグネー
ムの作家さん達の印税率をみると羨ましい限りです。

販売価格のうちプロバイダーに○○、出版社に△△、作家さんには
□□、とすると編集プロダクションには・・・
もう少し何とかならないかというのが漫画編プロさんと接しての
実感です。


■関連サイト
464.jp

ACCS-ニュース(2005(平成17)年度の刑事事件参照)
■ ネットでコミックを無断送信、古本売買サイト運営者ら3人逮捕(2006年2月14日)


written by ootsukahoumu at 21:43│TrackBack(0)知財判決速報2007 

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