裁判所HP 知的財産裁判例集より

「電磁波吸収材ノウハウ」事件(控訴審)

知財高裁平成19.8.30平成19(ネ)10035損害賠償請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 田中信義
裁判官     石原直樹
裁判官     杜下弘記


★原審
東京地裁平成19.3.16平成17(ワ)18066損害賠償請求事件PDF


■事案

電磁波吸収材製造技術に関して、ノウハウの無断使用があったとして、
不法行為性、営業秘密の不正使用行為性が争われた事案

原告(控訴人) :被告会社元技術本部長/顧問
被告(被控訴人):塗料製造販売会社


■結論

控訴棄却(原告側一審二審とも敗訴)


■争点

条文 不正競争防止法2条1項4号、2条6項

1 ノウハウの侵害性


■判決内容

<争点>

1 ノウハウの侵害性

「営業秘密」の特定性について、控訴審も基本的に原審判断を維持して
います。
(5頁以下)

なお、ノウハウ部分が具体的に明確化されていない点について、

控訴人は,本件ノウハウの内容は「ゴムシートの連続製造技術 」,「量産性とシート性能のための成分組成」,「ゴムボートのホットプレス用ポリエステルとの接着性」,「ゴムシートの製造規格」等で,十分に具体的であるとか,ノウハウは,特許技術と異なり,一種の技術秘訣であるから,文書で明確に明文化できるものではないなどと主張するが,たとえ,ノウハウが一種の技術秘訣であろうと,それが,不正競争防止法2条6項所定の「営業秘密」であり,その侵害が同条1項4号に当たるといい得るためには,法的保護に値するか否かを具体的に認定できる程度に「営業秘密」の内容が具体的であることを要するものというべきであり,逆に,そのような具体性を主張立証することのできないものは,ノウハウと呼ぶか否かは格別,不正競争防止法上の「営業秘密」に当たるものとは到底認めることができないし,この理は不法行為の成否の判断においても同様というべきである。そして,上記「ゴムシートの連続製造技術」,「量産性とシート性能のための成分組成」,「ゴムボートのホットプレス用ポリエステルとの接着性」,「ゴムシートの製造規格」等というだけでは,かかる具体性を具備するに至っていないことは極めて明白である。
(7頁)

として、やはり具体的に明らかにされていないと控訴審でも判断しています。


■コメント

控訴審も原審維持の判断です。


■過去のブログ記事

2007年03月21日記事
「電磁波吸収材ノウハウ」事件〜不正競争防止法 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)〜