裁判所HP 知的財産裁判例集より

「日本香堂ローソク営業誹謗」事件

東京地裁平成19.5.25平成17(ワ)8140不正競争行為差止等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 市川正巳
裁判官     大竹優子
裁判官     頼晋一


■事案

ローソク国内市場で1、2位を争う原告被告間において被告が
原告製品について行った告知行為の営業誹謗行為性が争われた
事案


原告:株式会社日本香堂
被告:カメヤマ株式会社


■結論

請求一部認容


■争点

条文 不正競争防止法2条1項14号

1 告知行為の営業誹謗性の成否
2 損害賠償額の算定
3 信用回復措置の要否


■判決内容

争点

1 告知行為の営業誹謗性の成否

ロウの固さや関東でのローソク火災の話題、芯糸の長さ等についての
被告の告知行為は、原告製品に向けられた虚偽告知であると認定。
差止の必要を認めました。
(29頁以下)


2 損害賠償額の算定

虚偽告知行為について故意もしくは過失があったと認定。

損害額については、

・5条2項関係
:売上減少による逸失利益額700万円

・その他
:無形損害(信用毀損)部分200万円
:事実調査費用部分70万円、弁護士費用130万円

以上合計1100万円と認定されました。
(40頁以下)


3 信用回復措置の要否

火災原因にかかわる被告の虚偽告知部分の違法性の高さから
信用回復措置の必要を肯定。
特定業者向けの訂正文送付が認められました。
(50頁以下)


■コメント

営業用のデモンストレーションに他社商品との比較を行う場合、
よほど注意して取扱わないと不正競業行為となってしまいます。

ところで、平成14年から17年にかけて、原告と被告はローソク
の品質等誤認表示行為性等(13号と14号)を巡り別訴(下記URL
参照)で争っています。このときは日本香堂の敗訴。

今回の事案で別紙カメヤマ発言内容を読んでみると関東(日本香
堂)対関西(カメヤマ)の様相を呈していることがわかります。

ローソク業界1位のカメヤマと2位の日本香堂(線香市場では1位)の

東西線香・ローソク屋「仁義なき戦い」

(「企業法務戦士の雑感」さん風に言うと)と
いったところでしょうか(笑)。


■別件訴訟

ローソク品質等誤認表示行為事件(ろうそく事件)

控訴審
大阪高裁平成17年04月28日平成16(ネ)2208不正競争行為差止等請求控訴事件PDF

原審
大阪地裁平成16年06月01日平成14(ワ)8337不正競争行為差止等請求事件PDF

■追記(07.06.13)

信用回復措置について

Matimulog
jugement:不正競争防止法14条その2