今月のCRIC月例講演会は、北海道大学大学院法学研究科
田村善之教授による講演会でした。

マッドアマノパロディ最高裁判例の射程について再検討を迫る
飯村判事や上野達弘先生、そして田村先生。

新たな引用の要件論を展開する飯村コートやその他の判例の動向をふまえ
近時の問題(オークションサイトでの美術品のサムネイル表示の
著作権侵害性など)について一定の解釈指針を与えようとする内容で
基本的には後掲「知財管理」収録論文を分かりやすく膨らませて
ご解説されたものでした。

詳しくは、講演会でも配布された田村先生の論文、
技術環境の変化に対応した著作権の制限の可能性について
ジュリスト』1255号(2003.11.1)124頁以下
絵画のオークション・サイトへの画像の掲載と著作権法
知財管理』56巻9号(NO.669)(2006.9)1307頁以下参照。


なお、引用要件論における総合較量説について、たとえば
飯村敏明裁判例における引用の基準について
(シンポジウム著作物の引用)『著作権研究』26号(2000)
91頁以下参照。


譲渡権の消尽(著作権法26条の2第2項1号、3号)や美術の著作物等の
展示に伴う複製
(47条)の規定を足がかりとしたオークションサイトでの
サムネイル画像の取扱いに関する解釈論は、たいへん興味深いものでした。


それにしても、田村先生のナマの講演会は初めてで
とてもワクワクした2時間でした。

大渕教授もそうですが、研究業績に勢いのある学者の方の講演は
普通の研究者・実務家の講演会に較べ言語情報量は1.5倍はあって、
息つく暇もないほどエキサイティングです。
講演会場もいつになく満席で、先生の業績に対する関心の高さが伺われました。