裁判所HP 行政事件裁判例集より
「天理教水京分教会」事件
★東京高裁平成18.6.28平成17(行コ)248規則変更認証処分取消請求控訴事件PDF
東京高等裁判所第1民事部
裁判長裁判官 江見弘武
裁判官 生野考司
裁判官 植垣勝裕
★原審
水戸地裁平成17.8.30平成16(行ウ)10規則変更認証処分取消請求事件
■事案
宗教法人内部の被包括関係廃止に際して行われた
所轄庁の規則変更認証処分の違法性と名称使用の
不正競争行為性が争われた事案
原告(控訴人) :天理教
被告(被控訴人):所轄庁
天理教分教会(訴訟参加人)
■結論
控訴棄却(原告側 敗訴)
■争点
条文 不正競争防止法2条1項1号、2号
1 宗教法人法28条1項1号の法令適合性と不正競争防止法
■判決内容
1 宗教法人法28条1項1号の法令適合性と不正競争防止法
原告側は、被包括関係廃止後も被告参加人が原告の名称の一部を
使用すること(「天理教○○教会」)が不正競争行為にあたる
違法なものであり、
宗教法人法28条1項1号(変更事項の法令適合性)の要件を欠く。
そしてこれを看過してされた所轄庁の処分は違法であると
主張していました。
この点について、原審に引き続き控訴審でも宗教法人の活動については、
不正競争防止法の適用外(「営業」にあたらない)であると判断されました。
『不正競争防止法違反の主張についてみるに,不正競争防止法は,営業の自由の保障の下で自由競争が行われる取引社会を前提に,経済活動を行う事業者間の競争が自由競争の範囲を逸脱して濫用的に行われ,あるいは,社会全体の公正な競争秩序を破壊するものである場合に,これを不正競争として防止しようとするものにほかならないと解される。そうすると,同法の適用は,上記のような意味での競争秩序を維持すべき分野に広く認める必要があり,社会通念上営利事業といえないものであるからといって,当然に同法の適用を免れるものではないが,他方,そもそも取引社会における事業活動と評価することができないようなものについてまで,同法による規律が及ぶものではないというべきである。これを宗教法人の活動についてみるに,宗教儀礼の執行や教義の普及伝道活動等の本来的な宗教活動に関しては,営業の自由の保障の下で自由競争が行われる取引社会を前提とするものではなく,不正競争防止法の対象とする競争秩序の維持を観念することはできないものであるから,取引社会における事業活動と評価することはできず,同法の適用の対象外であると解するのが相当である。また,それ自体を取り上げれば収益事業と認められるものであっても,教義の普及伝道のために行われる出版,講演等本来的な宗教活動と密接不可分の関係にあると認められる事業についても,本来的な宗教活動と切り離してこれと別異に取り扱うことは適切でないから,同法の適用の対象外であると解するのが相当である(最高裁平成17年(受)第575号同18年1月20日第二小法廷判決参照)。』
(3頁)
■コメント
知財判決と違って行政事件で裁判所サイトへのアップが遅くて
半年前の裁判例となります。
別件ですが、平成18年1月20日におなじく天理教内部での
名称使用差止事件について最高裁判例が出ていて、
今回の控訴審でもこの最高裁の判断を引用しています。
過去のブログ
「天理教名称使用差止」事件〜不正競争防止法 名称使用差止等請求事件判決(最高裁HPより)〜
■参考判例
「天理教名称使用差止」事件
最判平成18年01月20日平成17年(受)第575号
「天理教水京分教会」事件
★東京高裁平成18.6.28平成17(行コ)248規則変更認証処分取消請求控訴事件PDF
東京高等裁判所第1民事部
裁判長裁判官 江見弘武
裁判官 生野考司
裁判官 植垣勝裕
★原審
水戸地裁平成17.8.30平成16(行ウ)10規則変更認証処分取消請求事件
■事案
宗教法人内部の被包括関係廃止に際して行われた
所轄庁の規則変更認証処分の違法性と名称使用の
不正競争行為性が争われた事案
原告(控訴人) :天理教
被告(被控訴人):所轄庁
天理教分教会(訴訟参加人)
■結論
控訴棄却(原告側 敗訴)
■争点
条文 不正競争防止法2条1項1号、2号
1 宗教法人法28条1項1号の法令適合性と不正競争防止法
■判決内容
1 宗教法人法28条1項1号の法令適合性と不正競争防止法
原告側は、被包括関係廃止後も被告参加人が原告の名称の一部を
使用すること(「天理教○○教会」)が不正競争行為にあたる
違法なものであり、
宗教法人法28条1項1号(変更事項の法令適合性)の要件を欠く。
そしてこれを看過してされた所轄庁の処分は違法であると
主張していました。
この点について、原審に引き続き控訴審でも宗教法人の活動については、
不正競争防止法の適用外(「営業」にあたらない)であると判断されました。
『不正競争防止法違反の主張についてみるに,不正競争防止法は,営業の自由の保障の下で自由競争が行われる取引社会を前提に,経済活動を行う事業者間の競争が自由競争の範囲を逸脱して濫用的に行われ,あるいは,社会全体の公正な競争秩序を破壊するものである場合に,これを不正競争として防止しようとするものにほかならないと解される。そうすると,同法の適用は,上記のような意味での競争秩序を維持すべき分野に広く認める必要があり,社会通念上営利事業といえないものであるからといって,当然に同法の適用を免れるものではないが,他方,そもそも取引社会における事業活動と評価することができないようなものについてまで,同法による規律が及ぶものではないというべきである。これを宗教法人の活動についてみるに,宗教儀礼の執行や教義の普及伝道活動等の本来的な宗教活動に関しては,営業の自由の保障の下で自由競争が行われる取引社会を前提とするものではなく,不正競争防止法の対象とする競争秩序の維持を観念することはできないものであるから,取引社会における事業活動と評価することはできず,同法の適用の対象外であると解するのが相当である。また,それ自体を取り上げれば収益事業と認められるものであっても,教義の普及伝道のために行われる出版,講演等本来的な宗教活動と密接不可分の関係にあると認められる事業についても,本来的な宗教活動と切り離してこれと別異に取り扱うことは適切でないから,同法の適用の対象外であると解するのが相当である(最高裁平成17年(受)第575号同18年1月20日第二小法廷判決参照)。』
(3頁)
■コメント
知財判決と違って行政事件で裁判所サイトへのアップが遅くて
半年前の裁判例となります。
別件ですが、平成18年1月20日におなじく天理教内部での
名称使用差止事件について最高裁判例が出ていて、
今回の控訴審でもこの最高裁の判断を引用しています。
過去のブログ
「天理教名称使用差止」事件〜不正競争防止法 名称使用差止等請求事件判決(最高裁HPより)〜
■参考判例
「天理教名称使用差止」事件
最判平成18年01月20日平成17年(受)第575号