裁判所HP 下級裁判所判例集より
「セラミック配合貴金属営業誹謗」事件
★甲府地裁平成18.11.28平成15(ワ)91損害賠償等請求事件PDF
甲府地方裁判所民事部
裁判長裁判官 新堀亮一
裁判官 岩井一真
裁判官 青木美佳
■事案
セラミック配合貴金属について、欠陥商品などと
虚偽事実を取引関係先に通知したことが営業誹謗行為に
あたるとして差止などが求められた事案
原告:貴金属装身具製造販売会社
被告:貴金属・宝石製造販売会社
■結論
請求一部認容
■争点
条文 不正競争防止法2条1項14号、民法719条
1 営業誹謗行為性
2 違法性阻却の成否
3 損害
4 差止の必要性
■判決内容
1 営業誹謗行為性
被告は、原告製品(指輪3点)を独自に入手、検査機関で検査した結果
セラミック成分の配合比率が0.01%未満だったことから
原告の取引先販売店や消費者センター、県福祉保健部へ
クレーム通知(電話・FAX、訪問)していました。
原告独自の検査、裁判所での鑑定嘱託の結果、
原告提出製品からは相当量のシリカ(Sio2)が検出されましたが、
被告提出の原告製品指輪2点についてはやはり0.01%未満でした。
こうした経緯を踏まえて、
被告側の「天然セラミックは検出されませんでした」という
告知部分については、直ちに虚偽告知であるとはいえないと
されました。(16頁)
もっとも、原告製品を扱えば
「詐欺になる」
「販売すると詐欺・景品表示法違反」になる
など、断定的な表現を用いて原告製品の品質の信頼性を否定しており
こうした点も総合的に考慮されて主たる部分に虚偽が含まれていると
判断されました。
(18頁)
2 違法性阻却の成否
指輪3点の検査結果のみを根拠としての被告側の言動には
違法性を阻却するような相当な理由は認められない、と
判断されました。(21頁以下)
3 損害
被告側に営業妨害・社会的信用毀損の意図があったと認定されており
(20頁以下)、無形的損害として150万円が認められました(500万円請求)。
4 差止の必要性
原告側申立による仮処分決定によりすでに被告側は文書の交付などを
していませんでしたが、被告側は独自の見解から反復継続して
虚偽告知・流布行為に及ぶ恐れがあるとして、差止の必要性が
認められました。(22頁)
■コメント
甲府地裁の取扱った事案です。
原告は、セラミック成分配合による健康増進をうたい文句にした
貴金属を製造販売していました。
これに対して、被告はトルマリン成分を配合した健康ジュエリーなどを
製造販売、両社は競争関係にある山梨県内の同業者でした(20頁)。
被告は、セラミック成分を貴金属に含有させることが
製法上難しいとの認識を持ち、また原告が薬事法に抵触するような
販売方法をしているのではないかとの疑念から調査を始め、
その結果、検査した原告製品3点の指輪については
シリカ(Sio2)含有率ほぼゼロとの結果を得ました。
こうした結果をふまえて、被告は関係各方面へ働きかけを行ったわけです。
もっとも、裁判所は指輪3点だけで原告製品のすべての含有率を
一律に判断できない、また、被告の行為は簡単に言うと、やりすぎ、
ということで結論的に不法行為性、営業誹謗行為性を肯定しています。
「セラミック配合貴金属営業誹謗」事件
★甲府地裁平成18.11.28平成15(ワ)91損害賠償等請求事件PDF
甲府地方裁判所民事部
裁判長裁判官 新堀亮一
裁判官 岩井一真
裁判官 青木美佳
■事案
セラミック配合貴金属について、欠陥商品などと
虚偽事実を取引関係先に通知したことが営業誹謗行為に
あたるとして差止などが求められた事案
原告:貴金属装身具製造販売会社
被告:貴金属・宝石製造販売会社
■結論
請求一部認容
■争点
条文 不正競争防止法2条1項14号、民法719条
1 営業誹謗行為性
2 違法性阻却の成否
3 損害
4 差止の必要性
■判決内容
1 営業誹謗行為性
被告は、原告製品(指輪3点)を独自に入手、検査機関で検査した結果
セラミック成分の配合比率が0.01%未満だったことから
原告の取引先販売店や消費者センター、県福祉保健部へ
クレーム通知(電話・FAX、訪問)していました。
原告独自の検査、裁判所での鑑定嘱託の結果、
原告提出製品からは相当量のシリカ(Sio2)が検出されましたが、
被告提出の原告製品指輪2点についてはやはり0.01%未満でした。
こうした経緯を踏まえて、
被告側の「天然セラミックは検出されませんでした」という
告知部分については、直ちに虚偽告知であるとはいえないと
されました。(16頁)
もっとも、原告製品を扱えば
「詐欺になる」
「販売すると詐欺・景品表示法違反」になる
など、断定的な表現を用いて原告製品の品質の信頼性を否定しており
こうした点も総合的に考慮されて主たる部分に虚偽が含まれていると
判断されました。
(18頁)
2 違法性阻却の成否
指輪3点の検査結果のみを根拠としての被告側の言動には
違法性を阻却するような相当な理由は認められない、と
判断されました。(21頁以下)
3 損害
被告側に営業妨害・社会的信用毀損の意図があったと認定されており
(20頁以下)、無形的損害として150万円が認められました(500万円請求)。
4 差止の必要性
原告側申立による仮処分決定によりすでに被告側は文書の交付などを
していませんでしたが、被告側は独自の見解から反復継続して
虚偽告知・流布行為に及ぶ恐れがあるとして、差止の必要性が
認められました。(22頁)
■コメント
甲府地裁の取扱った事案です。
原告は、セラミック成分配合による健康増進をうたい文句にした
貴金属を製造販売していました。
これに対して、被告はトルマリン成分を配合した健康ジュエリーなどを
製造販売、両社は競争関係にある山梨県内の同業者でした(20頁)。
被告は、セラミック成分を貴金属に含有させることが
製法上難しいとの認識を持ち、また原告が薬事法に抵触するような
販売方法をしているのではないかとの疑念から調査を始め、
その結果、検査した原告製品3点の指輪については
シリカ(Sio2)含有率ほぼゼロとの結果を得ました。
こうした結果をふまえて、被告は関係各方面へ働きかけを行ったわけです。
もっとも、裁判所は指輪3点だけで原告製品のすべての含有率を
一律に判断できない、また、被告の行為は簡単に言うと、やりすぎ、
ということで結論的に不法行為性、営業誹謗行為性を肯定しています。