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2006年12月08日

「教科書副教材著作権侵害」事件(控訴審)〜著作権 損害賠償請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)〜

裁判所HP 知的財産裁判例集より

「教科書副教材著作権侵害」事件(控訴審)


★控訴審
平成18.12.6知財高裁平成18(ネ)10045 損害賠償請求控訴事件 著作権 民事訴訟

知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 塚原朋一
裁判官    高野輝久
裁判官    佐藤達文



★原審
平成18.3.31東京地裁平成15(ワ)29709 損害賠償 著作権 民事訴訟PDF

★過去のブログ記事
「教科書副教材著作権侵害」事件〜著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)〜


■事案

教科書に準拠した副教材として製作された小学生用国語テスト等の
著作権侵害性が争われた事案


原告(控訴人) :作家
被告(被控訴人):教育教材図書出版会社


■結論

控訴棄却(原審維持)



■争点

条文 著作権法20条、19条、民法724条

1 訴えの追加的変更の許否
2 同一性保持権侵害性(20条)
3 氏名表示権侵害性(19条)
4 「損害を知りたる時」(民法724条)
5 損害、利得の算定


■判決内容

1 訴えの追加的変更の許否

原審は、提訴後2年以上経た時期での変更申立は
時機に後れた攻撃防御方法であるとしていましたが
控訴審もこれを維持、変更を許しませんでした。


2 同一性保持権侵害性

損害の算定について、

同一性保持権を侵害されたことによる慰謝料は,改変行為によって生じるものであって,年度ごとに毎年別個の損害が発生するというものではないというべきである。そうであれば,改変行為が同一であれば,同一の改変行為としてこれに基づく損害を算定するのが相当である。
(34頁)

原審の説示(原審PDF106頁)を維持しています。


3 氏名表示権侵害性

損害の算定について、

氏名表示権を侵害されたことによる慰謝料は,著作者名を表示し又は表示しないで著作物を公衆に提供する行為によって生じるものであって,年度ごとに毎年別個の行為が行われ別個の損害が発生するというものではないというべきである。そうであれば,上記の提供行為が同一であれば,同一の提供行為としてこれに基づく損害を算定するのが相当である。
(34頁)

原審の説示(原審PDF108頁)を維持しています。


4 「損害を知りたる時」(民法724条)

教科書掲載著作物の著作権者は,著作物を教科用図書に掲載する旨の通知を受けるとともに,補償金の支払いを受けるから(著作権法33条2項),当然に,自己の著作物が教科書に掲載されていることを認識しているものである。そして,ある教材会社が教科書掲載著作物をその著作権者に無断で長年にわたって広範囲に国語テストに複製して販売してきたという一般的事実が存在し,以前から教科書に掲載されている著作物に係る著作権者が上記事実を認識していたという事実関係の下においては,教科書掲載著作物の著作権者が,ある教材会社が教科書に掲載された自己の著作物を国語テストに複製したことを認識した時には,経験則上,教科書に掲載されていたそれ以前の期間,上記教科書掲載著作物を国語テストに複製していたことを認識したものと推認することができる。
(35頁)

この点についても原審の説示の内容(原審PDF116頁以下)を
維持しています。


5 損害、利得の算定

(1)損害について

・財産的損害

 単価×部数×使用率(使用頁数÷総頁数)×料率(10%又は5%)

・慰謝料
 1 同一性保持権侵害・・・10万円
 2 氏名表示権侵害・・・・・ 5万円

とした原審判決を是認。


(2)利得について

損害賠償請求権が消滅時効にかかってしまっている作家については
作品の使用料相当額の不当利得返還請求を認め、使用料率5%での
利得額計算を認めました(原審同様)。

 単価×部数×使用率×料率(5%又は翻訳2.5%)

また、被告は年5%の利息返還義務があるとしています。
この点も原審維持です。


■コメント

作家のかたがたが学校教材図書を巡って争っていた事案の控訴審判決です。

控訴審でも原審の判断が維持され、著作権侵害性は認められたものの
原告作家側としては、不満の残る内容となったようです。


なお、学校教材図書を巡る著作権紛争については長い歴史があります。

社団法人日本図書教材協会のサイトに詳しく掲載されています。

「協会の歴史>資料室>教科書会社との著作権問題。」

(社)日本図書教材協会



written by ootsukahoumu at 23:17│TrackBack(0)知財判決速報2006 

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