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2006年10月06日

「耳かき形態」事件〜不正競争防止法 不正競争行為差止等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

裁判所HP 知的財産裁判例集より

「耳かき形態」事件

東京地裁平成18.9.28平成18(ワ)4933 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 設楽隆一
裁判官    間史恵
裁判官    荒井章光



■事案

原告:新商品研究開発会社
被告:日用雑貨製造販売会社

平成11年グッドデザイン賞受賞の
金属製スパイラル耳掻きの類似商品の
製造・販売をめぐってその不正競争行為性が
争われた事案


■結論

請求棄却


■争点

条文 不正競争防止法2条1項1号、2号

1 商品形態の商品等表示性


■判決内容

1 商品形態の商品等表示性

耳掻きの先端部分の形態自体が原告を表すもの、つまり原告製品の
「商品等表示」にあたるかどうかについて争われています。

裁判所は、この点について従来の判例を踏襲しています。

商品の形態は,本来的には,商品としての機能・効用の発揮や商品の美観の向上等のために選択されるものであり,商品の出所を表示する目的を有するものではない。しかし,特定の商品の形態が独自の特徴を有し,かつ,この形態が長期間継続的かつ独占的に使用されるか,又は短期間でも強力な宣伝等が伴って使用されることにより,その形態が特定の者の商品であることを示す表示であると需要者の間で広く認識されるようになった場合には,当該商品等の形態が,上記各号にいう「商品等表示」として保護されることになると解すべきである。
(8頁)

そのうえで、


(1)特別顕著性

弾性をもつ金属製の線材をらせん状に加工した耳掻きは
それまでの耳掻きにはなかった形態のものであるとして
原告製品の先端の形態について「独自の特徴」性を
肯定しています。

(2)需要者間認識性

一般消費者や雑貨店などの間で原告商品の形態が
広く原告製品であると認識されていたかどうかについて、
雑誌記事などの商品紹介はあったものの、原告自身による
宣伝広告がほとんどされていなかった事情などが考慮されて
広く知られているわけではないと判断されました。


結論として、原告製品形態の商品等表示性を否定しました。


なお、裁判所は17頁で

原告製品のような商品の保護は,その構成あるいは機能については,特許法あるいは実用新案法による法定期間内の保護が,また,斬新なデザインについては意匠法による法定期間内の保護が認められ得るとしても,不正競争防止法2条1項1号及び2号による保護を認め,その新規な構成あるいは機能ないしデザインを半永久的に独占的に保護をする結果となることは,他の知的財産権の保護とのバランスからみても相当ではないというべきである。

として、技術的形態と商品等表示の調整について
言及しています。


■コメント

わたしもこのスパイラル耳掻きを購入して
使っています。
金属製の筒に収納されて、反対部分のキャップには
掃除用のハケが附属しています。

東急ハンズで当初出回っていたときは、1200円以上の
価格でしたので、なかなか購入するまでには
至りませんでした。

最近になって1000円を切った値段で購入したので、
あるいはわたしの耳掻きは被告商品かもしれません。


判決にあるように、こうした斬新なアイデア商品は
実用新案法などで保護するのがスジでしょう。

わたしの場合も原告会社の製品かどうかは知らないし、
購入の際の考慮の対象にはなりませんでしたし。


■参考文献

小松一雄編著「不正競業訴訟の実務」(2005)182頁以下


■最近の判例(過去のブログ記事より)

・サンプリングチューブ事件(大阪地裁平成18年07月27日平成17(ワ)11055不正競争行為差止請求事件)
「サンプリングチューブ」事件〜不正競争防止法差止請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

・ロレックス類似商品事件(東京地裁平成18年07月26日平成16(ワ)18090 不正競争行為差止等請求事件)
「ロレックス類似商品」事件〜不正競争防止法差止等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜


written by ootsukahoumu at 20:24│TrackBack(0)知財判決速報2006 

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