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2006年07月28日

「ロレックス類似商品」事件〜不正競争防止法差止等請求事件判決(知的財産裁判例集)〜

裁判所HP 知的財産裁判例集より

東京地裁平成18.7.26平成16(ワ)18090 不正競争行為差止等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 市川正巳
裁判官    大竹優子
裁判官    杉浦正樹


■事案

腕時計の老舗ブランド「ロレックス」の類似商品を巡って
販売差止、商品の廃棄、損害賠償などが争われた事案。


■結論

請求一部認容(原告ロレックス側実質勝訴)



■争点

条文 不正競争防止法2条1項1号、2号、3条、5条

1 形態の商品等表示性
2 類似性
3 混同のおそれ
4 損害額(略)
5 差止の必要性(略)


■判決内容

1 形態の商品等表示性

まず裁判所は規範として、

商品の形態は,商標等と異なり,必ずしも商品の出所を表示することを目的として選択されるものではないが,商品の形態が特定の商品と密接に結びつき,その形態を有する商品を見ればそれだけで特定の者の商品であると判断されるようになった場合には,当該形態が出所表示機能を獲得し,特定の者の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものということができる。
ある商品の形態が極めて特殊で独特な場合には,その形態だけで商品等表示性を認めることができるが,形態が特殊とはいえなくても,特徴ある形態を有し,その形態が長年継続的排他的に使用されたり,短期であっても強力に宣伝されたような場合には,当該形態が出所表示機能を獲得し,その商品の商品等表示になっていると認めることができる場合がある。

(48頁)

形態の商品等表示性についての一般論を述べています。
その上で、


前記認定の事実によれば,原告各製品の各要素の組合せからなる全体の形態は,形態自体が極めて特殊で独特であり,その形態だけで商品等表示性を認めることができる場合には当たらないが,同種製品と区別し得る形態的特徴を有しており,これに前記の原告各製品の販売状況及び雑誌等での紹介の実情等を考慮すると,上記の各要素の組合せからなる全体の形態は,原告各製品が原告の製造販売に係るものであることを示す商品等表示に該当するということができる。
(63頁)

結論として、商品等表示性を肯定しました。

この点については、「iMac・ソーテック」事件
(東京地決H11.9.20平成11(ヨ)22125号)が有名で
規範部分としては同一といえます。


2 類似性

10種類の時計うち、9個について類似性を肯定しました(70頁)。


3 混同のおそれ

結論として、取引者又は需要者における混同のおそれを
肯定しています(70頁以下)。

また、重過失も認定しました(74頁)。



■コメント

いわゆる海賊版の販売事案とは違って
被告会社はロレックス正規品を取扱う一方で、
独自ブランドとしてそれらに形態や名称が類似する
製品を企画、製造、販売していました。

たとえば、エクスプローラーやデイトナ、
サブマリーナ、GMTマスターなどのロレックス製品の
いわば「弟分」を製造、販売したわけです。

ちゃんとしたビジネスモデルになっていたのであれば
ロレックスの弟分「チュードル」のような存在に
なったのでしょうが、
下記にある「COMEX」商標権審決取消請求事件のように
「公序良俗に反する」と断ぜられるような行為をしている
ところからすると
ビジネスのセンスとしてはちょっと違った
方向を向いていたのかもしれません。


なお、被告会社のケントレーディングから
プレスリリースが発表されています
(2006年7月26日付)。

KTDB


日本ロレックス社とのかかわりは
判決文からはよくわかりません。

いずれにしても、商標を巡る争いをみても
紆余曲折がかなりあることから、
そう簡単に白黒判断のつく事案ではなかったのかも
しれません。




■被告が関係する判例等

・対カルティエ訴訟(カルティエのパネライ事件)
東京地裁平成16年07月28日平成15(ワ)29376不正競争民事訴訟PDF

カルティエの特徴的なリューズやケース、べゼルが
「商品等表示」にあたり、被告の製品の形態が類似、
付された名称も類似するとして、販売差止、商品廃棄が
認められた事案。

小松一雄編著「不正競業訴訟の実務」(2005)188頁に
時計の画像が掲載されています。


・ドメイン登録裁定(日本知的財産仲裁センター紛争処理パネル)
日本知的財産仲裁センター紛争処理パネル 事件番号:JP2002−0001PDF

被告会社が取得したドメインについて、
「PRO-LEX」(pro-lex.co.jp)と「ROLEX」が称呼上の類否において、
混同を生じさせる程度に類似していると判断された事案です。
ドメイン取得について正当な権利・利益がなく、また
不正目的登録と裁定され、上記ドメインが登録取消となりました。

なお、JP紛争処理方針第4条、不正競争防止法2条1項12号参照。


・「COMEX」商標権審決取消請求事件
東京高裁平成17年01月31日平成16(行ケ)219商標権行政訴訟PDF

ROLEXのサブマリーナなどダーバーズウォッチで
ダブルネーム(「ROLEX/comex」)となる
フランスの潜水調査会社の商標「COMEX」。

潜水用品についてのみ「COMEX」が商標登録されていた
ことから、時計類について商標権を取得した被告が
COMEX社らとその肯否にかかわる審決の取消をめぐって
争いました。

結論的には、被告の時計類についての「COMEX」商標権取得は
認められませんでした(商標法4条1項7号:公序良俗違反)。


・「PRO-LEX」審決取消請求事件
東京高裁平成13年06月20日平成12(行ケ)435商標権行政訴訟PDF

「時計」を指定商品として登録された「PRO-LEX」と
「ROLEX」の称呼上の類否が問題となった事案。

結論的には、「ROLEX」と類似し、誤認混同のおそれもある
として「PRO-LEX」商標は認められませんでした
(商標法第4条1項11号:類似商標)。


追記(06.7.29)

■参考ブログ

ラスコーリニコフの質屋 - 腕時計を巡る仁義なき戦い…



written by ootsukahoumu at 17:17│TrackBack(1)知財判決速報2006 

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1. ケントレーディング  [ キーワードマーケティング実験室 ]   2006年07月28日 23:06
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