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2006年05月18日

「著作権、パブリシティ権侵害における『実質的違法性』―引用、パロディを中心として―」 著作権情報センター5月著作権研究会講演

弁護士山崎卓也先生(Field-R法律事務所)による講演。
先生は東海大学エクステンションセンター知財講習会でも
講演されたりとご活躍中です。


引用の要件(著作権法32条)の検討を中心として
著作権侵害の実質を「実務感覚」の観点から
捉え直そうという内容。

ベルヌ条約9条2項のスリーステップテスト、また
著作権法5条の解釈を媒介として著作権侵害の実質について
潜在的な市場とバッティングするかどうか」という
判断基準からいくつかの判例の事案が分析されました。

実質的違法性」というと、刑法理論で出てくるもので
てっきり著作権侵害と刑罰権発動の関係にでも言及されるのかと
思ってしまいましたが、そうではありませんでした。


著作権の財産的側面での侵害について、
著作権の本質論(インセンティブ論)から
「著作権者のインセンティブ確保のために必要な
市場性、価格影響の範囲」というものを考えていく視点は
議論の整理の視点として参考になるものでした。

ところで、民法上の不法行為論については
ほとんど言及されませんでしたが
ヨミウリオンライン事件」判決などで示された
一般的不法行為論での違法性の議論などにも上記視点は
応用できそうです。


もっとも、人格的側面に対する侵害については
パロディ論で最後に駆け込み的に触れられたくらい。
著作者人格権の侵害論については
今後の検討課題ともいえそうです。


なお、今年の著作権法学会のシンポジウムは
著作者人格権に関する総合的考察」。
(「企業法務戦士の雑感」さんの記事より [法律] 春の学会

ちょうど10年前(1996年)の学会でのシンポジウムが
著作権法制と人格権」(著作権研究23号1997年刊)ですから、
その間の判例、学説の集積がどのように現れるのか
大変興味深いところです。


written by ootsukahoumu at 19:31│TrackBack(0)著作権・知財 

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