最高裁判所HP 知財判決速報より

H18.2.21 東京地裁 平成17(ワ)14972等 不正競争 民事訴訟事件


■事案

ハンバーガーチェーンで有名なマクドナルドのフランチャイズ契約の
解除の成否をめぐって争われた事案


■結論

請求認容(原告マクドナルド側勝訴)


■争点

条文 民法415条、不正競争防止法2条1項2号、3条

 フランチャイズ契約解除の成否


■判決内容

フランチャイズ契約解除の成否 


被告であるフランチャイジーは解除権の濫用などを主張しましたが
裁判所は容れませんでした。

結論として、フランチャイズ契約の解除が成立。
契約は終了していることから契約終了後の被告の営業活動に対して
原状回復を認めました。
また、原告の著名な標章を被告が店舗の看板や垂れ幕などで使用している
点についての差止も同時に認めています(不正競争防止法2条1項2号、同3条)。



■コメント

福岡で売り上げNo.1の店舗を巡ってフランチャイズ契約の解除の成否が
争われました。

ガチガチに固めたマクドナルドのフランチャイズ契約書と、
契約解除に至るまでに民事調停を含め段階を踏んだ交渉、手続を行ってきた
マクドナルド側の対応を前提とするとフランチャイジー側の主張を認めることは
非常に困難に思われます。

また、経理上の虚偽申告や売上上位店舗であるにもかかわらず苦情件数割合が
全国一位とサービス面での問題も指摘されていて、継続的契約関係における
信頼関係の構築という点でフランチャイジーには旗色が悪い印象です。

なお、判決では売上減少の一因がマクドナルドのハンバーガー安売り路線
100円マック政策」にあるとの被告の主張もあってその内容に言及されています。
また、原告から被告に対して2億円余で売却された営業権(得意先や仕入先情報、
営業上の秘訣などの無形固定資産)の取扱についても同様に触れられています。


本件は、フランチャイズ老舗のマクドナルドの契約関係の一端がうかがえる事案
として参考になるものと思われます。


■参考サイト

フランチャイズ契約裁判例の理論分析」(2005)の著書を
刊行されている弁護士の金井高志先生(本件原告側訴訟代理人)の
サイトに最近のフランチャイズにかかわる裁判例が掲載されています。

フランテック法律事務所 フランチャイズ情報 フランチャイズに関する最近の裁判例 

金井先生は、(社)著作権情報センター著作権研究会の講演会で
著作権等のライセンス契約の諸問題―基礎理論の検討と近時の課題―
の題目で発表もなさっています(コピライト524号(2004年12月号)2頁以下)。


■追記

控訴審
知財高裁平成19年09月27日平成18(ネ)10032
不正競争行為差止等・損害賠償等反訴事件
「マクドナルド フランチャイズ契約解除」事件(控訴審)