知財判決速報より

★H17.12. 8 大阪地裁 平成16(ワ)12032 商標権 民事訴訟事件


■事案
「クルマの110番」「自動車の119番」などの商標権を
保持する原告がネット上で類似の標章を使用した
同業他社に対して商標権侵害に基づく損害賠償請求を
行った事案。



■結論

請求認容(原告側勝訴 ただし、損害額は約8%認定)



■争点

条文 商標法第32条、37条、38条3項等

1 登録商標と被告標章の類否(商標権侵害該当性)
2 先使用権の成否
3 商標登録の無効事由の有無
4 商標法38条3項に基づく損害額の算定



■判決内容

1 登録商標と被告標章の類否(商標権侵害該当性)

→ 類似性を肯定。

2 先使用権の成否

→ 成立を否定。

3 商標登録の無効事由の有無

→ 「110番」などの使用が無効事由とはならないと判断。

4 商標法38条3項に基づく損害額の算定

→ 侵害された商標の価値、取引実態、侵害行為の内容等から
  総合判断。
  侵害期間29ヶ月・月額25000円と算定(計73万円)。
  弁護士・弁理士費用は7万円のみ認定。




■コメント

本事案では、被告の自社サイト上では原告の登録商標は
表示されておらず、トップページのHTMLファイルに
メタタグとして記載されているに過ぎず、MSNサーチで
検索すると被告サイトの説明として商標が使用、表示
されていたという状況でした。

こうした形式での表示と商標の出所識別機能との関係に
ついても判断されており、ネットを利用した商標権
侵害事案として興味深いものだといえます。