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2005年12月12日

「スタビライゼーション」運動法商標権侵害事件(知財判決速報より)

★控訴審
H17.11.24 知財高裁 平成17(ネ)10082 商標権 民事訴訟事件

★原審
H17. 3.30 東京地裁 平成16(ワ)25661 商標権 民事訴訟事件


■事案

「スタビライゼーション\フィジカル・コントロール・テクニック\(PC)」という登録商標
(登録番号49739 指定役務41 「運動法の教授」)をもつ原告が、
「スタビライゼーション」などの標章を書籍やDVDなどで使用した被告に対して、
商標権侵害を理由として標章の使用差止、書籍等の廃棄を求めた事案。


■結論

控訴棄却(一審同様原告側敗訴)



■争点

原告の商標と被告の標章の類似性



■判決内容

控訴審でも原判決の「事実及び理由」を引用して原告側の主張を退けました。

以下は原審の判断部分です。


原告の商標について、

本件商標は,別紙商標目録記載のとおり,「スタビライゼーション」,「フィジカル・コントロール・テクニック」及び「(PC)」の文字並びにこれらの文字の間に挿入されている記号「\」により構成されて おり,「スタビライゼーション,フィジカルコントロールテクニック,ピイシイ」の称呼を生じるものと認められる(なお,簡易迅速が尊重される当該役務の実際の取引の場においては,上記称呼のほかに,「スタビライゼーション,フィジカルコントロールテクニック」,あるいは「スタビライゼーション,ピイシイ」と称呼されることも想定されるが,後記説示のとおり,「スタビライゼーション」部分が普通名称であり,「フィジカル・コントロール・テクニック\(PC)」部分も一般的な文字を組み合わせたものであって,いずれも自他識別力を欠くことを考慮すると,それ以上に「スタビライゼーション」を含む簡略な称呼は生じないものと解するのが相当である。)。


として、「スタビライゼーション」部分は普通名称であるとしました。そして、


本件商標のうち,「スタビライゼーション」部分は,英単語である「stabilization」の読みをカタカナ文字で表記したものであり,一般的には「固定」又は「安定」という意味を有する。この表示が運動法の教授という指定役務について使用された場合,需要者は,当該表示を,主動筋のみならず,主動筋を補助する補助筋を刺激し,バランス能力や姿勢反射の改善を図り,四肢の安定性を高めることを目的とした特定のトレーニング方法を表す普通名称である旨理解すると認めることができる(甲2〜11,乙1〜10)。また,「フィジカル・コントロール・テクニック」部分は,いずれも一般的な文字である,「身体の」を意味する「フィジカル」,「管理」を意味する「コントロール」,「技術」を意味する「テクニック」を組み合わせたものであり,全体として,身体を管理する技術という観念を生じ,「(PC)」部分は,「フィジカル」と「コントロール」を英文字で表記した「physical」と「control」の頭文字を結合して括弧を付したものであると認められる。
    そうすると,本件商標からは,その文字の意味に即応して,「スタビライゼーションのトレーニング方法を用いて身体を管理する技術」という観念が生じるものと認められる。
    そして,本件商標が運動法の教授という指定役務について使用された場合に, 屮好織咼薀ぅ次璽轡腑鵝徂分は,特定のトレーニング方法を表す普通名称であるから,独立して自他識別力を有するものではないこと(原告も,第1回口頭弁論期日において,そのことを認める旨の陳述をしている。),◆屮侫ジカル・コントロール・テクニック\(PC)」部分は,一般的な文字を組み合わせたものであって,運動法の教授という指定役務について自他識別力を有するものではないことに照らせば,本件商標は,いずれかの部分が要部ということはいえず,商標全体としてのみ自他識別力を持つものであるということができる。



として、原告の商標は全体としてのみ自他識別力を持つものとしました。
その上で被告の標章を検討、原告商標と被告標章との比較をしています。



被告標章は,単に「スタビライゼーション」,「スタビリティトレーニング」のみから構成されるか,あるいは,これらに「研究会」,「専門家」等の文字を組み合わせたものであって,前記認定の称呼と,当該文字の意味に即応した観念が生じるものと認められるから,本件商標と被告標章とは,称呼,観念のいずれにおいても相違するものといわなければならない(なお,本件商標と被告標章とが,外観において類似するか否かについては,原告による主張立証がなく,本件全証拠によっても,両者は外観上類似するものとは認められない。)。
    したがって,被告標章が本件商標に類似すると認めることはできない。



このように両者の類似性を否定し、結論的に商標権侵害はないと判断しました。



■コメント

被告側が原告よりも6年も早い時期から書籍などで「スタビライゼーショントレーニング」を
紹介しており、「スタビライゼーション」は商標登録出願時には運動法として需要者間では
普通名称といえる状況でした。

こうした事実のもとでは商標の類似性の問題もそうですが、先使用権の問題もありますし
原告の主張は苦しいものがあります。


今回の事件で思うことは、被告側も早い時期に商標登録など予防法務に注意を払って
いれば無用な争いを防げたということです。



トレーニング方法の命名とその保護については、先に「初動負荷」理論について
著作権の成否が争われた事案があります。

H17. 7.12 大阪地裁 平成16(ワ)5130 著作権 民事訴訟事件

トレーニング方法・理論の命名について、著作権法での保護には限界があります。
できうれば商標登録をしたいところです。

■参考
NPO法人 日本スタビライゼーション協会


written by ootsukahoumu at 00:06│Comments(0)TrackBack(0)知財判決速報2005 

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