2005年08月01日
すごすぎる「妖怪根付」の世界=知財判決より(その2)=
昨日ブログに書いた海洋堂のフィギア模型原型の著作物性(著作権)を巡る訴訟。早速知人の根付作家さんとこの裁判を話題にしました。
「 控訴審では妖怪根付だけ著作物性が認められたんです。
動物やアリスものは否定。どうしてでしょうね? 」
「 動物ものは図鑑とかから持ってきたんでしょ?
アリスはジョン・テニエルの原画のコピーだからじゃない?
それに対して妖怪根付はなかなかのものですよ。
私も知り合いから教えられて参考に一個買い求めましたが、
この値段でこれだけの出来というのはスグレもの。
紐も付属していたし『根付』の範疇に含まれるものでした。 」
象牙加工の現代根付作家も評価する海洋堂原型製作の形彫根付「妖怪シリーズ・妖怪根付」。
「 ネットでもいろいろ紹介されてますよ。
造形作家さんの個人サイトもあります。 」
と教えられて今回検索してみたら、あるある!しかもそのクオリティの高いこと!驚きました。
以下は「妖怪根付」を扱ったサイトの一部です。
妖怪根付
妖怪根付ー表紙
妖怪根付陰の巻の紹介
フィギア造形師 竹谷隆之さんのサイト
そこで、控訴審裁判所の「妖怪根付」に対する判断部分を以下に改めて掲載しておきたいと思います。
『(ウ) 本件妖怪フィギュア
本件妖怪フィギュアは,本件動物フィギュアと異なり,空想上の妖怪を造形したものである。
確かに,前記認定のとおり,本件妖怪フィギュアのなかには,石燕の「画図百鬼夜行」を原画とするものもある。
しかし,平面的な絵画をもとに立体的な模型を制作する場合には,制作者は,絵画に描かれた妖怪の全体像を想像力を駆使して把握し,絵画に描かれていない部分についても,描かれた部分と食い違いや違和感が生じないように構成する必要があるから,その制作過程においては,制作者の想像力ないし感性が介在し,制作者の思想,感情が反映されるということができる。
そして,前記認定のとおり,本件妖怪フィギュアは,石燕の原画を忠実に立体化したものではなく,随所に制作者独自の解釈,アレンジが加えられていること,妖怪本体のほかに,制作者において独自に設定した背景ないし場面も含めて構成されていること(特に,前記認定の「鎌鼬」,「河童」や,「土蜘蛛(つちぐも)」が源頼光及び渡辺綱に退治され,斬り裂かれた腹から多数の髑髏(どくろ)がはみ出している場面(甲第52号証)などは,ある種の物語性を帯びた造型であると評することさえも可能であって,著しく独創的であると評価することができる。),色彩についても独特な彩色をしたものがあることを考慮すれば,本件妖怪フィギュアには,石燕の原画を立体化する制作過程において,制作者の個性が強く表出されているということができ,高度の創作性が認められる。
また,本件妖怪フィギュアのうち,石燕の「画図百鬼夜行」を原画としないものについては,制作者において,空想上の妖怪を独自に造形したものであって,高度の創作性が認められることはいうまでもない。
そして,前記認定のとおり,本件妖怪フィギュアは,極めて精巧なものであり,一部のフィギュア収集家の収集,鑑賞の対象となるにとどまらず,一般的な美的鑑賞の対象ともなるような,相当程度の美術性を備えているということができる。
以上によれば,本件妖怪フィギュアに係る模型原型は,石燕の「画図百鬼夜行」を原画とするものと,そうでないもののいずれにおいても,一定の美的感覚を備えた一般人を基準に,純粋美術と同視し得る程度の美的創作性を具備していると評価されるものと認められるから,応用美術の著作物に該当するというのが相当である。』(H17. 7.28 大阪高裁 平成16(ネ)3893 著作権 民事訴訟事件)
(なお、スペースなど原文を変更した部分があります)
原審では大量・安価に製造されるお菓子の「おまけ」のフィギア模型原型であることが重視されて「純粋美術に準じるものとまではいえない」と判断されていましたが、控訴審裁判所では「妖怪根付」について著作物性を認めました。
控訴審裁判所の判断もこれで納得!というところです。
「 控訴審では妖怪根付だけ著作物性が認められたんです。
動物やアリスものは否定。どうしてでしょうね? 」
「 動物ものは図鑑とかから持ってきたんでしょ?
アリスはジョン・テニエルの原画のコピーだからじゃない?
それに対して妖怪根付はなかなかのものですよ。
私も知り合いから教えられて参考に一個買い求めましたが、
この値段でこれだけの出来というのはスグレもの。
紐も付属していたし『根付』の範疇に含まれるものでした。 」
象牙加工の現代根付作家も評価する海洋堂原型製作の形彫根付「妖怪シリーズ・妖怪根付」。
「 ネットでもいろいろ紹介されてますよ。
造形作家さんの個人サイトもあります。 」
と教えられて今回検索してみたら、あるある!しかもそのクオリティの高いこと!驚きました。
以下は「妖怪根付」を扱ったサイトの一部です。
妖怪根付
妖怪根付ー表紙
妖怪根付陰の巻の紹介
フィギア造形師 竹谷隆之さんのサイト
そこで、控訴審裁判所の「妖怪根付」に対する判断部分を以下に改めて掲載しておきたいと思います。
『(ウ) 本件妖怪フィギュア
本件妖怪フィギュアは,本件動物フィギュアと異なり,空想上の妖怪を造形したものである。
確かに,前記認定のとおり,本件妖怪フィギュアのなかには,石燕の「画図百鬼夜行」を原画とするものもある。
しかし,平面的な絵画をもとに立体的な模型を制作する場合には,制作者は,絵画に描かれた妖怪の全体像を想像力を駆使して把握し,絵画に描かれていない部分についても,描かれた部分と食い違いや違和感が生じないように構成する必要があるから,その制作過程においては,制作者の想像力ないし感性が介在し,制作者の思想,感情が反映されるということができる。
そして,前記認定のとおり,本件妖怪フィギュアは,石燕の原画を忠実に立体化したものではなく,随所に制作者独自の解釈,アレンジが加えられていること,妖怪本体のほかに,制作者において独自に設定した背景ないし場面も含めて構成されていること(特に,前記認定の「鎌鼬」,「河童」や,「土蜘蛛(つちぐも)」が源頼光及び渡辺綱に退治され,斬り裂かれた腹から多数の髑髏(どくろ)がはみ出している場面(甲第52号証)などは,ある種の物語性を帯びた造型であると評することさえも可能であって,著しく独創的であると評価することができる。),色彩についても独特な彩色をしたものがあることを考慮すれば,本件妖怪フィギュアには,石燕の原画を立体化する制作過程において,制作者の個性が強く表出されているということができ,高度の創作性が認められる。
また,本件妖怪フィギュアのうち,石燕の「画図百鬼夜行」を原画としないものについては,制作者において,空想上の妖怪を独自に造形したものであって,高度の創作性が認められることはいうまでもない。
そして,前記認定のとおり,本件妖怪フィギュアは,極めて精巧なものであり,一部のフィギュア収集家の収集,鑑賞の対象となるにとどまらず,一般的な美的鑑賞の対象ともなるような,相当程度の美術性を備えているということができる。
以上によれば,本件妖怪フィギュアに係る模型原型は,石燕の「画図百鬼夜行」を原画とするものと,そうでないもののいずれにおいても,一定の美的感覚を備えた一般人を基準に,純粋美術と同視し得る程度の美的創作性を具備していると評価されるものと認められるから,応用美術の著作物に該当するというのが相当である。』(H17. 7.28 大阪高裁 平成16(ネ)3893 著作権 民事訴訟事件)
(なお、スペースなど原文を変更した部分があります)
原審では大量・安価に製造されるお菓子の「おまけ」のフィギア模型原型であることが重視されて「純粋美術に準じるものとまではいえない」と判断されていましたが、控訴審裁判所では「妖怪根付」について著作物性を認めました。
控訴審裁判所の判断もこれで納得!というところです。
