先月、情報雑誌「ケイコとマナブ」を巡り編集著作物性が争われた裁判の控訴審判決が下されたことについては以前ブログに書きました
H17. 3.29 東京高裁 平成16(ネ)2327 著作権 民事訴訟事件)。

関連のある論点について、学習院大学横山先生の論文に関して備忘録的にごくごく簡単に記しておきたいと思います。


横山久芳「編集著作物概念の現代的意義ー「創作性」の判断構造の検討を中心としてー」
(著作権法研究30号139頁以下2003年)


*なお、地裁判決評釈として、
同「情報誌『ケイコとマナブ』編集著作権事件」(コピライト523号32頁以下2004年)



現行著作権法12条では、素材が詩や絵などの著作物である「古典的な編集物」である場合だけでなく、素材が電話番号や住所などの事実・データといった「事実的な編集物」である場合も保護の対象になっています。

しかし、従来の枠組みからするとどうしても新しい「情報検索ツール」としての価値を持つ事実的機能的編集物の保護に限界が出てきてしまいます。

そこで素材の選択配列行為によって生み出される編集著作物の「創作性」について、「創作性」概念を再検討し新たな概念定立を目指すとともに(「個性」から「創作の幅」へ)、ここでの成果を著作権法総論検討の足がかりにしようとするものです。