2018年06月20日

かっぱえびせんキャッチフレーズ事件−著作権 著作者人格権確認等請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

かっぱえびせんキャッチフレーズ事件

東京地裁平成30.3.26平成29(ワ)25465著作者人格権確認等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官    伊藤清隆
裁判官    天野研司

*裁判所サイト公表 2018.ー.ー
*キーワード:確認の利益、キャッチフレーズ

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■事案

広告キャッチフレーズの制作者の事実の確認等を巡って争われた事案

原告:個人
被告:食品会社

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■結論

請求却下、棄却

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■争点

条文 民法709条

1 原告が本件CMを制作した事実の確認を求める訴えは適法か
2 被告は原告に対し原告が本件キャッチフレーズを考えた本人であるとの事実を被告の社内報に掲載する旨を約したか
3 本件番組の放送及び本件新聞記事の掲載につき被告に名誉毀損の不法行為が成立するか
4 被告が本件各書面を原告に送付した行為につき侮辱の不法行為が成立するか

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■事案の概要

『本件は,原告が,(1)被告が製造し販売するスナック菓子「かっぱえびせん」の広告用に昭和39年に制作されたテレビコマーシャル(以下「本件CM」という。)は,当時株式会社大広(以下「大広」という。)の放送制作部に所属していた原告が制作したものであるとして,被告に対し,原告が本件CMを制作した事実の確認を求め,(2)被告は,原告との間で,原告がかっぱえびせんのキャッチフレーズである「やめられない,とまらない」のフレーズ(以下「本件キャッチフレーズ」という。)を考えた本人であるとの事実を被告の社内報に掲載することを約したのにこれを行っていないとして,被告に対し,被告の社内報及びホームページへの上記事実を記載した記事の掲載を求め,(3)被告は,毎日新聞及び日本テレビをして本件キャッチフレーズが被告の社内会議にて誕生した旨を報道させ,原告の名誉を毀損したとして,被告に対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,損害賠償金7500万円の支払を求め,(4)被告は,原告に対して複数の書面を送付し,原告を侮辱したとして,被告に対し,不法行為による損害賠償請求権に基づき,損害賠償金7500万円の支払を求めた事案である。』
(2頁)

<経緯>

H23 かっぱえびせん由来のテレビ再現ドラマ放送
H24 被告が原告に原告作成書面を返送
H26 被告と原告代表が面会
H28 かっぱえびせん由来の新聞記事掲載

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■判決内容

<争点>

1 原告が本件CMを制作した事実の確認を求める訴えは適法か

本件訴えのうち、原告が本件CMを制作した事実の確認を求める訴えは不適法であると裁判所は判断しています(8頁以下)。

なお、付言として、仮に原告が本件CMを制作した事実ではなくて、原告が本件CMにつき著作権ないし著作者人格権を有することの確認を求めているとしても、被告はアストロミュージックから許諾を受けて本件キャッチフレーズを使用しているにとどまり、本件CMについて被告が著作権ないし著作者人格権を有するなどとは主張していないことから、原告が有する権利又は法律上の地位に存する危険又は不安を除去するために本件CMの著作権ないし著作者人格権の存否につき被告との間で確認判決を得ることが必要かつ適切であるとは認め難いと裁判所は判断。この場合も確認の利益を欠くものとして不適法であると判断しています(8頁以下)。

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2 被告は原告に対し原告が本件キャッチフレーズを考えた本人であるとの事実を被告の社内報に掲載する旨を約したか

被告の社内報及びホームページに原告が本件キャッチフレーズを考えた本人であるとの事実を掲載することを求める原告の請求は認められていません(9頁以下)。

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3 本件番組の放送及び本件新聞記事の掲載につき被告に名誉毀損の不法行為が成立するか

本件番組及び本件新聞記事の内容が原告の社会的評価を低下させるものと認めることはできないとして、被告による名誉毀損を原因とする原告の請求は認められていません(10頁)。

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4 被告が本件各書面を原告に送付した行為につき侮辱の不法行為が成立するか

被告の書面での表現行為が社会生活上許される限度を超えた侮辱行為であると認めることはできないとして、被告による侮辱を原因とする原告の請求は認められていません(10頁以下)。

結論として、原告が本件CMを制作した事実の確認を求める部分は不適法であるからこれを却下することとし,その余の請求にはいずれも理由10
がないからこれらを棄却

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■コメント

原告は、「やめられない、とまらない、かっぱえびせん」のキャッチフレーズを制作したのは自分であると主張しましたが、本人訴訟ということもあり、主張立証が尽くされていません。
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「リアリ・スティック」ファイル交換共有ソフトShare不正配信事件−著作権 発信者情報開示請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

「リアリ・スティック」ファイル交換共有ソフトShare不正配信事件

東京地裁平成30.5.24平成30(ワ)6456発信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官 安岡美香子
裁判官 佐藤雅浩

*裁判所サイト公表 2018.06.11
*キーワード:プロバイダ責任制限法、レコード原盤、送信可能化権

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■事案

TVアニメ「クロムクロ」EDテーマ「リアリ・スティック」/MICHI.rar」音楽ファイルを不正配信した発信者情報開示請求の事案

原告:レコード会社
被告:プロバイダ

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■結論

請求認容

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■争点

条文 プロバイダ責任制限法4条1項、著作権法23条

1 送信可能化権の侵害の有無
2 開示を受けるべき正当な理由の有無

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■事案の概要

『本件は,レコード制作会社である原告が,原告が送信可能化権を有するレコードに収録された楽曲を氏名不詳者が無断で複製した上でコンピュータ内の記録媒体に記録して蔵置し,被告の提供するインターネット接続サービスを経由して自動的に送信し得る状態にしたことから,上記送信可能化権が侵害されたことは明らかである等と主張して,被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,発信者情報の開示を求める事案である。』
(2頁)

<経緯>

H28.05 原告がMICHI歌唱楽曲「リアリ・スティック」制作販売
H29.08 本件利用者がファイル交換共有ソフトShareで不正送信

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■判決内容

<争点>

1 送信可能化権の侵害の有無

本件利用者が、原告の本件レコードに係る送信可能化権を侵害したことは明らかであり、本件記録を精査しても同送信可能化行為について著作隣接権の権利制限事由が存在することはうかがわれず、その他上記判断を覆すに足りる事情は見当たらないと裁判所は判断。
送信可能化権の侵害を肯定しています(4頁)。

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2 開示を受けるべき正当な理由の有無

本件利用者の氏名、住所等がいずれも不明であることから、原告が上記侵害に基づく損害賠償請求権等を行使するために本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるものと裁判所は判断(4頁以下)。

結論として、原告の請求を認容しています。

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■コメント

ファイル交換共有ソフトであるShare互換ソフトウェアを利用して、TVアニメ「クロムクロ」EDテーマ「リアリ・スティック」/MICHI.rar」音楽ファイルを不正配信した発信者の情報開示請求の事案です。
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2018年06月14日

JASRAC放送包括許諾契約行政訴訟事件(控訴審)−著作権 是正処置命令等義務付け請求及び法律構成の矛盾等是正控訴事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

JASRAC放送包括許諾契約行政訴訟事件(控訴審)

知財高裁平成30.2.27平成29(行コ)10003是正処置命令等義務付け請求及び法律構成の矛盾等是正控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 清水 節
裁判官    中島基至
裁判官    岡田慎吾

*裁判所サイト公表 2018.6.11
*キーワード:義務付け訴訟、処分性

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■事案

放送事業者とJASRACの間の包括許諾契約に関する行政庁の行政行為の処分性の有無が争点となった事案の控訴審

控訴人(1審原告) :個人
被控訴人(1審被告):国

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 行政事件訴訟法3条6項1号

1 行政行為の処分性の有無

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■事案の概要(控訴の趣旨)

『別紙控訴状写しの「控訴の趣旨」記載のとおりであり,要するに,本件各訴えを却下した原判決を取り消した上で,控訴人は,放送事業者と一般社団法人日本音楽著作権協会(以下「JASRAC」という。)との間の包括的な許諾による利用許諾契約(以下「包括許諾契約」という。)に基づく音楽著作物の使用料の徴収方法に多大な誤りがあり,その誤りの要因が著作権法の条文の誤りにあるなどと主張して,原審における請求と同様に,被控訴人に対し,法務大臣を処分行政庁として,法務省,文化庁,公正取引委員会及びJASRACに対する包括許諾契約に基づく徴収方法の是正処置命令を発することの義務付け(請求の趣旨第1項)を求めるとともに,法務省を処分行政庁として,公正取引委員会及びJASRACに対する包括許諾契約に基づく徴収方法の排除,除去,及び著作権法改正の是正処置命令を発することの義務付け(同第2項)を求めるものと解される(控訴の趣旨第3項)。なお,JASRACが,国に対し,罰金を支払うことなどを内容とする控訴状の記載部分(控訴の趣旨第4項)については,被控訴人のみが被告とされた原審における請求の趣旨等に照らし,当審において,追加的に請求するものではないと解される。』
(2頁)

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■判決内容

<争点>

1 行政行為の処分性の有無

控訴審でも控訴人の主張する各是正処置命令はいずれも処分性を欠くものであるとして、本件各訴えはいずれも不適法なものであると判断されています(3頁)。

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■コメント

控訴審は、本件各訴えをいずれも却下した原判決は相当であると判断しています。

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■過去のブログ記事

東京地裁平成29.10.11平成29(行ウ)165是正処置命令義務付け請求事件及び法律構成の矛盾等是正事件
原審記事
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2018年06月11日

FX取引自動売買ソフト無断複製事件−著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

FX取引自動売買ソフト無断複製事件

東京地裁平成30.4.26平成28(ワ)44243等損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 沖中康人
裁判官    矢口俊哉
裁判官    広瀬達人

*裁判所サイト公表 2018.−.−.
*キーワード:プログラム著作物、著作者性、名誉毀損

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■事案

外国為替証拠金取引(FX取引)自動売買ソフトウェアの無断複製の有無が争点となった事案

原告(反訴被告):個人
被告(反訴原告):個人

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■結論

本訴請求棄却、反訴一部認容

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■争点

条文 著作権法2条1項2号

1 本件プログラムの著作者は原告か
2 本案前の争点(反訴要件の有無)
3 被告に対する名誉棄損の不法行為の成否
4 被告の損害

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■事案の概要

『本件は,(1)原告が,自らの作成に係る別紙1(甲12の1。以下「本件本体部分」という。)及び別紙2(甲12の2。以下「本件ライブラリ部分」という。)の各ソースコードから成るプログラム(以下「本件プログラム」という。)の著作権を有しているところ,被告において原告の許諾なく本件プログラムを複製して販売していることが,原告の上記著作権(複製権又は譲渡権)を侵害すると主張して,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償金209万3600円及びこれに対する不法行為日以後である平成28年8月16日から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(本訴)のに対し,(2)被告が,原告において被告と交わした電話での通話内容(原告が被告による上記著作権侵害を主張する内容である。)を録音してインターネット上で配信等した行為が被告の名誉権及びプライバシー権を侵害すると主張して,原告に対し,不法行為に基づく損害賠償金55万円及びこれに対する不法行為後である平成29年3月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(反訴)事案である。』
(2頁)

<経緯>

H28.10 原告が被告に電話
    原告がニコニコ生放送、YouTubeにやりとりの動画を投稿

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■判決内容

<争点>

1 本件プログラムの著作者は原告か

裁判所は、本件プログラムに著作物性が認められるとしても、具体的なソースコードの作成の大部分をCが担当しているなどとして、原告が創作性を主張する「本件手法メモ部分をプログラムとして記述した部分」の著作者が原告であると認めることはできないと判断。結論として原告の著作者性を否定し、原告の本訴請求を認めていません(8頁以下)。

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2 本案前の争点(反訴要件の有無)

原告は、本件反訴が「本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする場合」に当たらないと主張しましたが、裁判所は、本件反訴は本訴の目的である著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求に係る請求権の行使又は催告等が、その態様に照らして原告の名誉権又はプライバシー権を侵害する不法行為に当たると主張して損害賠償を求めるものであるとして、本件本訴の目的である請求と関連する請求を目的とするものであると認めています(10頁)。

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3 被告に対する名誉棄損の不法行為の成否

原告は動画配信サイトに被告との電話での通話内容を投稿していましたが、本件配信及び本件投稿に係る動画中における原告の発言は、被告が原告の著作権を侵害したとの印象を与えるなど、被告の社会的評価を低下させるに足るものと認められるとして、裁判所は被告に対する名誉棄損の不法行為を構成するものと認めています(10頁以下)。

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4 被告の損害

被告に対する名誉棄損の不法行為に関する損害額として、慰謝料10万円と弁護士費用相当額損害2万円の合計12万円が被告の損害として認定されています(11頁)。

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■コメント

原告は本人訴訟ということもあって、プログラムの創作性やソースコードを作成したCと原告との権利関係といった点について主張立証が尽くされていない印象です。

written by ootsukahoumu at 08:35|この記事のURL知財判決速報2018 

2018年06月10日

ジャコ・パストリアス音楽原盤権利処理事件−著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

ジャコ・パストリアス音楽原盤権利処理事件

大阪地裁平成30.4.19平成29(ワ)781損害賠償請求事件PDF

大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官 高松宏之
裁判官    野上誠一
裁判官    大門宏一郎

*裁判所サイト公表 2018.−.−.
*キーワード:レコード製作者、著作隣接権、注意義務、過失、損害論

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■事案

映画のBGMに使用した音源の権利処理について、その調査確認義務を怠ったかどうかが争点となった事案。

原告:レコード会社
被告:映画製作配給会社

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法2条1項6号、96条、114条3項

1 原告が本件音源につきレコード製作者の権利を有するか否か
2 被告が本件音源を複製するにつき過失があったといえるか否か
3 原告の損害額

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■事案の概要

『本件は,レコード会社である原告が,自己が販売する音楽CDに収録されている楽曲がBGMとして使用されている映画を複製した,外国映画の配給会社である被告に対し,レコード製作者の権利(複製権)侵害を理由として,民法709条に基づき,損害賠償金635万円及びこれに対する不法行為の後の日である平成29年2月26日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(1頁以下)

<経緯>

H04 原告がP1とマスターレコーディング譲渡契約締結
H05 原告が「Holiday for Pans」(本件CD)販売
   本件CDにはジャコ・パストリアス演奏の本件楽曲収録
H26 トラバース社から委託を受けたスラング社がジャコのドキュメンタリー映画「JACO」に本件楽曲の音源をBGMとして使用
H27 P2から原告に許諾要請。原告は拒絶
H28 スラング社と被告が本件映画のライセンス契約締結。
   被告がスラング社からフィルム原版の送付を受け複製
   原告が被告に対して本件映画の配給中止等を通知
   被告が日本の映画館で上映

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■判決内容

<争点>

1 原告が本件音源につきレコード製作者の権利を有するか否か

裁判所は、原告が本件音源のレコード製作者としてその権利を原始取得したとは認められないものの、レコード製作者の権利を有するP1からその権利を譲り受けたことによって、本件音源についてレコード製作者の権利を取得した(承継取得)と判断しています(7頁以下)。

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2 被告が本件音源を複製するにつき過失があったといえるか否か

裁判所は、外国映画の配給会社が複製しようとする映画に使用されている楽曲等の権利処理について、その処理が完了していないのではないかと合理的に疑わせる事情もない段階では、当該映画を複製するに先立って当該映画に使用されている楽曲等の権利処理が完了しているか否かを確認する注意義務を当該会社が負うとは認められないと説示。
その上で、本件の事情に照らすと、本件音源の権利処理が完了していないのではないかという合理的に疑わせる事情が存在し、被告はそのような事態を十分予見することができたとして、上記疑いを合理的に払拭できるまで調査、確認を尽くし、その疑いが払拭できないのであれば、本件音源の複製を差し控えるべき注意義務を負っていたと判断。結論として、上記注意義務を怠った過失があると判断しています(14頁以下)。

侵害論に関して、被告には原告のレコード製作者の権利を侵害するにつき過失があり、被告は原告に対して不法行為に基づく損害賠償責任を負うと裁判所は判断しています。

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3 原告の損害額

損害論に関して、裁判所は、許諾料相当額損害(著作権法114条3項)として2万円を認定しています(22頁以下)。

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■コメント

問題となったエレクトリック・ベース・プレイヤー、ジャコ・パストリアスのドキュメンタリー映画の予告編がyoutubeにあるので、どういう内容かが分かります。
「ベーシスト、ジャコ・パストリアスのドキュメンタリー!映画『JACO』予告編」
予告編
映画「ジャコ」公式サイト

原告はジャコ演奏の音源のマスターテープを所持していて、平成5年から音楽CDを販売していました。映画でのBGM使用について映画制作側から原告へ事前に権利処理の申し出の経緯がありました。また、映画のエンドロールには(無許諾ですが)原告レーベルの許諾表示がありました。
これに対して、被告側は、ジャコ・パストリアスの遺族等との間で原盤の利用について権利処理が整っていると反論しましたが、結論としては、被告側に許諾状況の調査確認義務違反に関する過失が認められています。
原盤の権利処理について演奏家の遺族も絡んで微妙な点を孕んでいますが、侵害論での反論内容、また損害論として損害額2万円という判決は、結論としては負けてはいない内容になるのではないでしょうか。さすが骨董通り法律事務所です。
和解となるかもしれませんが、控訴審の判断が注目されます。
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2018年06月08日

芸能プロダクション業務提携解消事件−著作権 業権確認等請求事件等判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

芸能プロダクション業務提携解消事件

大阪地裁平成30.5.10平成28(ワ)5587営業権確認等請求事件等PDF
別紙1 歌詞目録2
別紙2 楽曲目録
別紙3 動産目録
別紙4 CD販売一覧表

大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官 森崎英二
裁判官    野上誠一
裁判官    大川潤子

*裁判所サイト公表 2018.6.4
*キーワード:プロダクション、業務提携解消、合意

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■事案

芸能プロダクション業務における業務提携解消の際の合意内容が争点となった事案

原告:プロダクション事業者
被告:芸能プロダクション、代表取締役P2

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 民法415条

1 本件グループの各メンバーと被告モデル屋本舗との間に別紙契約目録記載の各契約が存在するか
2 原告は別紙債務目録記載1の債務を被告モデル屋本舗に対し同目録記載2、3の債務をP2に対して負っているか
3 原告は別紙動産目録記載の動産について所有権を有するか
4 原告は別紙楽曲目録記載の楽曲及び別紙歌詞目録記載の歌詞について著作権を有するか
5 被告モデル屋本舗は別紙不動産目録記載の不動産について転借権を有するか
6 平成26年11月28日にされた合意又はその債務不履行に基づく被告モデル屋本舗の原告に対する請求権の存否

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■事案の概要

『本件本訴請求事件は,別紙本件グループメンバー表記載のグループ名のアイドルグループ(以下「本件グループ」という。)に属する同表記載1ないし7のメンバー(以下,各メンバーを同表の番号に従い,「メンバー1」などという。)とマネジメント契約を締結している原告が,被告モデル屋本舗に対し,上記第1の1(1)ないし(6)で特定される権利義務の存在ないし不存在の確認を求めるほか,P2に対しては別紙債務目録記載2,3の債務が存在しないことの確認を求めた事案である。
 本件反訴請求事件は,上記原告の主張を争う被告モデル屋本舗が,原告に対し,(1)本件グループの公演1回当たり1万円を支払うとの合意に基づく未払分の197万円,(2)CDの売上げに伴う支払についての合意に基づく未払分の300万0500円,及び(3)本件グループが公演場所とする不動産の使用方法の合意の債務不履行に基づく損害434万円の合計額931万0500円並びにうち622万0500円((1)の内金102万円,(2)の内金220万0500円,(3)の内金300万円の合計額)に対する反訴状送達の日の翌日である平成29年3月30日から,内金309万円((1)の内金95万円,(2)の内金80万円,(3)の内金134万円の合計額)に対する反訴請求に係る訴えの変更申立書送達の日の翌日である平成30年2月6日から,それぞれ支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(3頁)

<経緯>

H24 被告モデル屋店舗が商店街活性化プロジェクト「DIVA FACTORY」立ち上げ
H24 原告がマネージャーとして関与
H24 本件グループが活動開始。各メンバーが被告モデル屋本舗とマネジメント契約締結
H25 原告が賃借人として本件不動産賃貸借契約締結
H26 メンバーAが本件グループを脱退、本件話合い実施
   本件グループ各メンバーと被告モデル屋本舗間のマネジメント契約解除合意
H27 原告が被告モデル屋本舗宛てに合意書を送信
   被告モデル屋本舗が楽曲及び歌詞の著作物(本件著作物)等の使用拒絶通知書送信
H28 原告が本件訴訟提起

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■判決内容

<争点>

1 本件グループの各メンバーと被告モデル屋本舗との間に別紙契約目録記載の各契約が存在するか

原告は、被告モデル屋本舗とメンバー1ないし7との間の契約という、原告自身が権利義務の主体でない契約の不存在の確認を求めました。
この点について、裁判所は、被告モデル屋本舗とメンバー1ないし7との間の契約が存在しないことが確認されたとしても、原告とメンバー1ないし7との間に契約があることが確認される、すなわち原告の実体法的地位を確保できる関係にあるわけではないとして、原告の求める確認の訴えについて原告に適格があるということはできないと判断。原告のこの点についての訴えは不適法と判断しています(21頁以下)。

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2 原告は別紙債務目録記載1の債務を被告モデル屋本舗に対し同目録記載2、3の債務をP2に対して負っているか

原告と被告モデル屋本舗との間で別紙債務目録記載1の債務の不存在を確認する利益があるとはいえないとして、その確認を求める訴えは不適法であると裁判所は判断。
また、原告とP2との間で別紙債務目録記載2、3の債務の不存在を確認する利益があるとはいえないとして、この点についても、その確認を求める訴えはいずれも不適法であると判断しています(22頁以下)。

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3 原告は別紙動産目録記載の動産について所有権を有するか

本件グループのイベントに来たファンに販売するDVDやグッズといった動産の所有権の帰属について、原告の所有であることが認められていません(23頁以下)。

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4 原告は別紙楽曲目録記載の楽曲及び別紙歌詞目録記載の歌詞について著作権を有するか

本件楽曲の著作権について、本件話合い後も本件楽曲の著作権は被告モデル屋本舗が有していることに変わりはないとして、裁判所は、その権利者であることの確認を求める原告の請求には理由がないと判断しています(24頁以下)。
本件歌詞の著作権については、歌詞1ないし6に関しては、原告が著作者で原始的には著作権者でした。その後、JASRACで管理されていましたが、原告から被告モデル屋本舗への著作権譲渡がされた事実が認定されず、原告が著作権者であると判断されています。
歌詞7に関しては、原告はP3との共同著作であることなどを主張しましたが、結論としては、原告が歌詞7の著作権を有すると認めることはできないと判断されています。
歌詞8ないし13に関しても、原告が著作権を有すると認めることはできないと判断されています。

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5 被告モデル屋本舗は別紙不動産目録記載の不動産について転借権を有するか

被告モデル屋本舗は原告に対して本件不動産の転借権を有していると裁判所は認定。その不存在の確認を求める原告の請求は認められていません(26頁以下)。

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6 平成26年11月28日にされた合意又はその債務不履行に基づく被告モデル屋本舗の原告に対する請求権の存否

被告モデル屋本舗の原告に対する反訴請求について、裁判所は、本件グループが本件不動産で公演をした場合の支払いに関する合意を踏まえ、原告の被告モデル屋本舗に対する未払額は、平成29年3月24日以前の対象公演69回分に相当する69万円と同月25日から平成30年2月8日までの対象公演74回分に相当する74万円とが認定されています(27頁以下)。
また、原告が本件グループのCDを販売した場合の支払いに関する合意に関しては、本件話合い以前に被告らの負担で制作されたCDを対象とした上で、未払額は平成29年3月24日以前に発生した未払分である17万5500円が認定されています。
なお、被告モデル屋本舗が本件不動産を第三者に利用させて収益を得る機会を原告が妨害したとして、その逸失利益の損害賠償を請求する点については、裁判所はこれを認めていません。

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■コメント

アイドルを展開する際に複数のプロダクションが協業する場合(業務提携)がありますが、その協力関係の詳細を細かく取り決めていなかったこともあって、協力関係を解消するにあたり、事後処理内容を合意で細かく詰め切れなかった事案となります。
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2018年06月02日

タレント宣材写真チラシ使用事件(控訴審)−著作権 損害賠償請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

タレント宣材写真チラシ使用事件(控訴審)

知財高裁平成30.5.28平成30(ネ)10002損害賠償請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官 高部眞規子
裁判官    山門 優
裁判官    筈井卓矢

*裁判所サイト公表 2018.5.29
*キーワード:写真、使用許諾、プロダクション、移籍、信義則、義務違反

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■事案

タレントの宣材写真の使用にプロダクションが関与していたかどうかが争点となった事案の控訴審

控訴人 (1審原告):芸能プロダクション
被控訴人(1審被告):芸能プロダクション、タレント

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■結論

控訴棄却

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■争点

条文 民法1条2項

1 被控訴人らの不法行為責任等の有無

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■事案の概要

『本件は,本件宣材写真の著作権者であると主張する控訴人が,ホテルセンチュリー静岡ないしその委託先において本件宣材写真の複製物を掲載した本件チラシを作成,頒布したことは,控訴人が有する本件宣材写真の著作権(複製権,譲渡権)の侵害に当たるところ,かかる侵害行為は被控訴人らがホテルセンチュリー静岡ないしその委託先をして行わせた共同不法行為であると主張して,被控訴人らに対し,著作権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき,損害賠償金330万円及びこれに対する不法行為後の日である平成26年7月16日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
 原判決は,控訴人の請求をいずれも棄却した。そこで,控訴人が,原判決を不服として控訴した。』
(2頁)

<経緯>

H17 被控訴人X(タレント)が控訴人に所属
H21 控訴人が被控訴人Xを撮影
H24 被控訴人Xが本件タレント契約を解消
H25 控訴人が被控訴人Xを提訴
H26 SBSプロモーションが本件チラシを制作
   本件イベント開催、被控訴人Xが出演
H28 控訴人請求棄却判決確定

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■判決内容

<争点>

1 被控訴人らの不法行為責任等の有無

控訴審は、タレントである被控訴人XがAに提供し、AがBに提供した本件宣材写真を利用して本件チラシが制作されたとの事実を認めるに足りる証拠はないと認定。かえって、本件チラシに掲載された本件プロフィール写真はSBSプロモーションから本件チラシの制作を依頼されたデザイナーが、Bから伝えられた本件ウェブサイトから取得したものであると判断。本件宣材写真を提供したことによる被控訴人らの責任を否定しています。
また、本件宣材写真のデータをダウンロードさせたことによる被控訴人会社の責任についても、控訴人の主張を認めるに足りる的確な証拠はないとしてこれを否定しています(6頁以下)。

さらに控訴人は、被控訴人Xは、信義則上の義務として控訴人が権利を有する写真等が使用されないよう確認し、防止する義務があったとして義務違反を主張しました。この点について、控訴審は、被控訴人Xにおいて控訴人とのタレント契約を解消したというだけで、
自己の写真について控訴人の著作権侵害がされないように防止する信義則上の義務を負うとまでは認め難いなどとして、控訴人の上記主張を認めていません(8頁)。

結論として、被控訴人らの不法行為責任ないし債務不履行責任は認められていません。

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■コメント

控訴審でも原審の判断が維持されており、移籍元であるタレント事務所の主張は認められていません。
なお、控訴審において旧タレント事務所側は、移籍したタレントには自身の宣材写真の取扱いについて信義則上の注意義務を負うとの主張をしましたが、控訴審では注意義務の存在を認めていません。

さて、原被告いずれの芸能事務所も、ものまねタレントさんに強い事務所で、当事者のタレントさんが誰だったのか、野次馬的に興味を惹くところです。
タレント専属契約関係でここ最近では、広瀬香美さんの新事務所(設立中)移籍に伴う芸名使用制限が話題となっています(株式会社オフィスサーティー「弊社所属アーティスト「広瀬香美」について重要なお知らせ」 http://www.officethirty.com/)。
また、農業アイドルの未成年の女性が自殺して、親御さんが事務所との確執を語っており、胸が痛みます(文春オンライン「母親が告白 農業アイドルだった大本萌景さん(16)は、なぜ自殺しなければならなかったのか」 http://bunshun.jp/articles/-/7433)。

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■過去のブログ記事

2017年12月18日記事
東京地裁平成29.11.29平成28(ワ)35002損害賠償請求事件
原審記事

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2018年05月31日

Twitterアイコン画像事件(控訴審)−著作権 発信者情報開示請求控訴事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

Twitterアイコン画像事件(控訴審)

知財高裁平成30.4.25平成28(ネ)10101発信者情報開示請求控訴事件PDF

知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官 森 義之
裁判官    森岡礼子
裁判官    永田早苗

*裁判所サイト公表 2018.5.23
*キーワード:写真、発信者情報開示、複製、公衆送信、リツイート、著作者人格権、Twitter

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■事案

Twitterのアイコン画像に無断で写真が使用されたとして発信者情報開示請求がされた事案の控訴審

控訴人(1審原告) :写真家
被控訴人(1審被告):Twitter日本法人、米国法人

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■結論

原判決変更

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■争点

条文 著作権法21条、23条、19条、20条、プロバイダ責任制限法4条1項

1 被控訴人ツイッタージャパンの発信者情報保有の有無
2 本件アカウント1及び2における本件写真の表示による控訴人の著作権等の侵害の明白性及び本件リツイート行為による著作権等の侵害の明白性
3 最新のログイン時IPアドレス等の発信者情報該当性
4 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無

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■事案の概要

『本件は,控訴人が,インターネット上の短文投稿サイト「ツイッター」において,控訴人の著作物である原判決別紙写真目録記載の写真(以下「本件写真」という。)が,(1)氏名不詳者により無断でアカウントのプロフィール画像として用いられ,その後当該アカウントのタイムライン及びツイート(投稿)にも表示されたこと,(2)氏名不詳者により無断で画像付きツイートの一部として用いられ,当該氏名不詳者のアカウントのタイムラインにも表示されたこと,(3)氏名不詳者らにより無断で上記(2)のツイートのリツイートがされ,当該氏名不詳者らのアカウントのタイムラインに表示されたことにより,控訴人の本件写真についての著作権(複製権,公衆送信権[送信可能化権を含む。],公衆伝達権。以下,これらを総称して「本件著作権」という。)及び著作者人格権(氏名表示権,同一性保持権,名誉声望保持権。以下,これらを総称して「本件著作者人格権」という。)が侵害されたと主張して,「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,上記(1)〜(3)のそれぞれについて,別紙発信者情報目録記載の情報の開示を求める事案である。
 控訴人は,原審においては,主位的に原判決別紙発信者情報目録(第1)記載の各発信者情報の開示を求め,予備的に原判決別紙発信者情報目録(第2)記載の各発信者情報の開示を求めていた。原判決は,被控訴人米国ツイッター社に対する請求を,原判決別紙流通情報目録記載1及び2の各アカウントの原判決別紙発信者情報目録(第1)記載3の各発信者情報の開示を求める限度で認容し,被控訴人米国ツイッター社に対するその余の請求及び被控訴人ツイッタージャパンに対する請求をいずれも棄却したので,これを不服とする控訴人が本件控訴を提起し,当審において,訴えの一部取下げ及び訴えの変更を行ったので,控訴人の請求は,上記のとおりとなった。』
(3頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 被控訴人ツイッタージャパンの発信者情報保有の有無

被控訴人ツイッタージャパンが発信者情報を保有しているとは認められていません(31頁以下)。

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2 本件アカウント1及び2における本件写真の表示による控訴人の著作権等の侵害の明白性及び本件リツイート行為による著作権等の侵害の明白性

(1)本件リツイート行為による著作権等の侵害の明白性

表示するに際して、HTMLプログラムやCSSプログラム等によって位置や大きさなどを指定されたために本件アカウント3〜5のタイムラインにおいて表示されている画像は、流通目録3〜5のような画像となったものと認められるとして、本件リツイート者らによって改変されたもので同一性保持権が侵害されているということができると控訴審は判断。また、氏名表示の点についても、同様の経緯で控訴人の氏名が表示されなくなったものと認められると判断。
結論として、本件リツイート者らによって本件リツイート行為により、控訴人の同一性保持権、氏名表示権が侵害されたことの明白性が控訴審で認定されています(32頁以下)。

(2)本件アカウント1及び2における本件写真の表示による控訴人の著作権等の侵害の明白性

本件アカウント2の流通情報2(3)及び(4)については、流通情報3〜5と同様に、流通情報2(2)の画像が改変され、控訴人の氏名が表示されていないということができるから、著作者人格権の侵害があるということができると控訴審は判断しています(39頁)。
これに対して、本件アカウント1の流通情報1(6)及び(7)については、流通情報1(3)の画像と同じものが表示されているとして、著作者人格権の侵害を否定。これらについて著作権の侵害を認めることができないことは、流通情報3〜5と同様であると判断しています。

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3 最新のログイン時IPアドレス等の発信者情報該当性

結論としては、控訴人が開示を求める最新のログイン時IPアドレス及びタイムスタンプは、本件において侵害情報が発信された各行為と無関係であり、省令4号及び7号のいずれにも当たらないというべきであるとして、別紙発信者情報目録記載2及び3についての控訴人の被控訴人米国ツイッター社に対する請求は理由がないと判断されています(39頁以下)。

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4 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の有無

控訴人は、本件アカウント1乃至5に本件写真を表示させた者に対して、著作権又は著作者人格権の侵害を理由として権利行使し得るが、上記の者の特定に資する情報を知る手段が他にあるとは認められないとして、控訴審も発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると認定しています(42頁)。

結論として、控訴人の請求は被控訴人米国ツイッター社に対して主文1(1)の電子メールアドレスの開示を求める限度で理由があり、その余は理由がないとして、これと異なる原判決を変更されています。

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■コメント

SNSのツイッターに無断で写真家の写真をアイコンやツイートに使用したり、リツイートに使用された事案の控訴審です。
原審では、本件アカウント3〜5についての原告の請求は認められていませんでしたが、リツイート行為による著作者人格権侵害性の判断が控訴審で変更、肯定されています。

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■過去のブログ記事

2016年10月13日
原審記事

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■参考サイト(追記 2018年6月14日)

原告サイト
http://ynawata.asablo.jp/blog/2018/05/22/8854401

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2018年05月10日

FC2動画アダルトサイト無断配信損害賠償請求事件3−著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

FC2動画アダルトサイト無断配信損害賠償請求事件3

東京地裁平成30.3.28平成29(ワ)19660損害賠償請求事件PDF

東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官 嶋末和秀
裁判官    伊藤清隆
裁判官    天野研司

*裁判所サイト公表 2018ーー
*キーワード:海賊版動画、使用料相当額損害

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■事案

アダルト動画を無断配信した者に対する損害賠償請求の事案

原告:ビデオ映像制作会社
被告:個人

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法23条、114条3項

1 著作権侵害の有無
2 損害論

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■事案の概要

『原告は,被告に対し,民法709条及び著作権法114条3項に基づき,株式会社CAから承継した著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求の一部請求として,本件著作物1につき659万円,本件著作物2につき61万円,本件著作物3につき8万円,弁護士費用相当額として72万円(本件各著作物の請求額に応じて案分される。)の合計800万円及びこれに対する不法行為後の日である平成29年6月19日(訴状送達日の翌日)から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める』事案

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■判決内容

<争点>

1 著作権侵害の有無

裁判所は、本件各著作物の一部と本件各動画との同一性を肯定した上で、原告がアメリカ合衆国連邦地方裁判所ネバダ州地区が発令した開示命令に基づき、FC2からニックネームを特定するために十分な情報として開示された住所及び氏名が被告の住所及び氏名と同一であると認められることを理由に、本件各動画が被告によってアップロードされたものであると認定。
結論として、被告の行為は株式会社CAの本件各著作物に係る公衆送信権(著作権法23条1項)の侵害に当たると判断されています。

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2 損害論

被告の本件著作物の著作権侵害に係る使用料相当額損害(114条3項)について、裁判所は、認定した事情その他本件において現れた事情を総合判断の上、本件著作物1及び2につき各50万円、本件著作物3につき5万円と認めるのが相当であると判断。
また、弁護士費用相当額損害として、本件著作物1及び2につき各5万円、本件著作物3につき5000円の合計10万5000円と判断。
結論として、合計115万5000円の損害額が認定されています。

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■コメント

動画共有サイト「FC2アダルト」で扱われた海賊版アダルト動画配信について、発信者への損害賠償を請求した事案となります。同一原告による海賊版対策の個人への損害賠償請求として裁判所サイトに公開された今年3件目の案件となります。

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■過去のブログ記事

2018年03月21日記事
アダルト動画無断配信損害賠償請求事件2

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2018年05月09日

高校野球応援風景写真事件−著作権 損害賠償等請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

高校野球応援風景写真事件

東京地裁平成30.4.26平成29(ワ)29099損害賠償等請求事件PDF

東京地方裁判所民事第46部
裁判長裁判官 柴田義明
裁判官    大下良仁
裁判官    林 雅子

*裁判所サイト公表 2018.5.7
*キーワード:写真、著作物性、損害論

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■事案

高校野球の応援風景写真の著作物性が争点となった事案

原告:県立高校応援団
被告:出版印刷会社

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■結論

請求一部認容

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、21条、112条、114条3項

1 本件写真の著作物性
2 本件写真に係る著作権の侵害の有無
3 本件書籍の販売期間及び方法
4 本件写真の著作権及び損害賠償請求権の帰属
5 損害の発生の有無及び損害額

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■事案の概要

『本件は,法人格なき社団である原告が,被告に対し,被告が別紙写真目録記載の写真(以下「本件写真」という。)を別紙書籍目録記載の各書籍(以下「本件書籍」と総称する。)に使用し,本件書籍を販売したことが本件写真に係る著作権(複製権,翻案権,譲渡権又は著作権法28条に基づく二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)侵害に該当し,原告は本件写真の著作権者から本件写真の著作権及び被告に対する上記著作権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権(譲受日までに発生していた請求権)を譲り受けたと主張して,著作権法112条1項及び2項に基づく本件書籍の印刷,頒布の差止め及び本件書籍のうち本件写真を掲載した部分の廃棄並びに民法709条及び著作権法114条3項に基づき,一部請求として,損害賠償金220万円及びこれに対する不法行為日(本件書籍の発行日)である平成21年8月20日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。』
(2頁)

<経緯>

H17.05 Aが応援風景を撮影(本件写真)
H21.08 被告が本件書籍を発行
H29.04 Aから原告に本件写真の著作権等を譲渡

本件写真:平成17年5月16日、埼玉県営大宮公園野球場で開催された関東地区春季高等学校野球大会における、群馬県立桐生高等学校応援団による応援風景を撮影したカラー写真

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■判決内容

<争点>

1 本件写真の著作物性

本件写真は、『画像の上半分に野球場のフェンス,その土台及びフェンス越しのグラウンド,下半分にスタンドが写っていて,フェンス側及びスタンド側で画面が斜め(右斜め下方向)に分けられているカラー写真である。スタンドとフェンスの間には,スタンドに向いて起立し,背中を大きくそらし,両手を上方に広げ,口を大きく開けて応援団を統率している学生服姿の女子生徒が写っており,その女子生徒の左側にスタンドの観客席で起立してメガホンを持つなどする学生服姿やユニホーム姿の数名の男子生徒が写っていて,また,女子生徒の右側下部分には試合を観戦する観客数名の後頭部が写っている』(8頁)といった内容の写真でした。
本件写真の著作物性(著作権法2条1項1号)について、裁判所は、本件写真の撮影者であるAは、本件写真の撮影に当たって被写体の選択や配置、シャッターチャンスの捕捉、アングル、構図等に工夫を加えて撮影していると判断。
撮影者の思想・感情が創作的に表現されているとして、本件写真は写真の著作物として著作物性が認められると判断しています。

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2 本件写真に係る著作権の侵害の有無

被告は、本件写真を加工してモノクロ画像にして本件書籍に掲載していましたが、裁判所は、この画像(本件画像)は本件写真に依拠し、本件写真の創作的な部分を本件書籍に掲載(再製)したものであって、本件写真を複製したものであると判断。
著作権侵害性を肯定しています(9頁以下)。

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3 本件書籍の販売期間及び方法

被告は、平成21年8月20日、本件書籍の第1版合計1万6000部(1集につき2000部。1集の本体価格476円(税抜価格))を発行し、北海道内の書店等において販売したこと、また、発行日から約1年後には書店での販売を取り止めたこと、現在でも本件書籍の在庫を保管しており、注文があれば販売していることが裁判所により認定されています(10頁以下)。

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4 本件写真の著作権及び損害賠償請求権の帰属

原告は、本件写真の撮影者であるA(著作者、著作権者)から、平成29年4月19日、本件写真に係る著作権及び被告に対する本件不法行為に基づく損害賠償請求権(同日までに発生した請求権)を譲り受けたと裁判所は認定しています(11頁)。

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5 損害の発生の有無及び損害額

裁判所は、Aから本件写真に係る著作権及び被告に対する本件不法行為に基づく損害賠償請求権(譲受日までに発生した請求権)を譲り受けた原告は、被告に対して112条1項に基づいて本件書籍の印刷又は頒布の差止め、また、同条2項に基づいて侵害行為を組成した本件書籍のうち、本件画像を掲載した部分(別紙書籍目録記載の使用頁)の廃棄を請求することができるとともに、被告の過失を前提に民法709条及び著作権法114条3項に基づいて本件写真の使用料相当額等の損害賠償金の支払を求めることができると判断。
著作権法114条3項に基づく損害としては、本件における本件画像の内容、本件書籍における使用方法、本件書籍の内容や発行数等その他本件に現れた諸事情を勘案して、本件における使用料相当額を30万円と認定。また、弁護士費用相当額損害として10万円を認定。
結論として、合計40万円を損害額として認定しています(11頁以下)。

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■コメント

判決文に画像の添付がなくて写真のイメージがいまひとつ不明ですが、高校野球の応援風景を撮影した写真にも著作物性が認められた点は参考になります。
スナップ写真でもネットから拾って商用で勝手に使えば、まず著作権侵害になる、と考えたほうが良いということになります。

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■追記(2018.5.10)

小川明子先生からご指摘を受けました。たいへん参考になりました。ありがとうございました。

「2008年の写真の中で、右列上から3つ目が該当の写真ではないかと思われます。
http://www8.plala.or.jp/hall3001/ouen/09/0.htm

群馬県立桐生高等学校応援団山紫会のHPは、
http://www8.plala.or.jp/hall3001/sanshi.htm  」
written by ootsukahoumu at 07:09|この記事のURL知財判決速報2018 

2018年04月25日

livedoor Blog写真無断掲載発信者情報開示請求事件−著作権 発信者情報開示請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

livedoor Blog写真無断掲載発信者情報開示請求事件

東京地裁平成30.4.13平成30(ワ)274発信者情報開示請求事件PDF

東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官 佐藤達文
裁判官    遠山敦士
裁判官    勝又来未子

*裁判所サイト公表 2018.4.23
*キーワード:発信者情報開示請求、写真、著作物性

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■事案

写真を無断でブログに使用されたために発信者情報開示請求がされた事案

原告:個人
被告:電気通信事業者

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■結論

請求認容

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、プロバイダ責任制限法4条1項

1 権利侵害の明白性
2 発信者情報開示を受けるべき正当理由の有無

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■事案の概要

『本件は,原告が,氏名不詳者がインターネット上のブログに投稿した記事は原告が著作権を有し又はその肖像が写った写真を複製するなどして不特定多数に送信したものであるから,同行為により原告の著作権(複製権及び公衆送信権)及び肖像権が侵害されたことは明らかであると主張して,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項の開示関係役務提供者である被告に対し,同項に基づき,被告の保有する発信者情報の開示を求める事案である。』
(1頁以下)

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■判決内容

<争点>

1 権利侵害の明白性

氏名不詳者である本件発信者がインターネット上のブログ「livedoor Blog」に原告各画像を各記事で使用して投稿した点について、裁判所は、原告各画像はいずれも著作権法2条1項1号の「著作物」に当たると判断した上で、原告各画像は原告に著作権が帰属し、権利制限事由もないとして、本件各記事が本件ブログに掲載されたことによって原告の著作権(複製権、公衆送信権)が侵害されたことは明らかであると判断しています(4頁以下)。

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2 発信者情報開示を受けるべき正当理由の有無

裁判所は、原告が本件発信者に対して原告各画像の複製権及び公衆送信権侵害を理由とする損害賠償請求権等を行使するためには、電子メールアドレスを含め、その発信者情報の開示が必要であると判断。原告には被告から本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があると判断しています(5頁以下)。

結論として、原告の請求は認容されています。

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■コメント

原告画像は人物の全身若しくは上半身又は物品(洋服、バッグ、時計、靴等)を撮影したもののようですが、原告の画像の内容が判決文からは分からないため、裁判所の写真の著作物性に関する判断について、なんとも論評できないところです。

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2018年04月09日

写真素材集無断イラストトレース事件−著作権 損害賠償請求事件判決(知的財産裁判例集)−

最高裁判所HP 知的財産裁判例集より

写真素材集無断イラストトレース事件

東京地裁平成30.3.29平成29(ワ)672等損害賠償請求事件PDF
別紙1
別紙2

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 沖中康人
裁判官    広瀬達人
裁判官    高櫻慎平

*裁判所サイト公表 2018.04.03
*キーワード:写真、イラスト、著作物性、複製、翻案、トレース

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■事案

写真からトレースしてイラスト化した場合の複製、翻案の限界事例

本訴原告兼反訴被告:ストックフォト会社
本訴被告兼反訴原告:同人誌制作者

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■結論

本訴、反訴請求棄却

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■争点

条文 著作権法2条1項1号、2条1項15号、27条

1 本件写真素材は著作物に当たるか
2 被告は本件写真素材に係る著作権を侵害したか
3 原告は本件写真素材の著作権者か
4 原告の請求が不法行為に当たるか

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■事案の概要

『本件は,原告が,被告において原告の販売する写真素材を原告に無断でイラスト化して自らの作品に使用して販売した行為が,原告の当該写真素材に係る著作権(複製権,翻案権及び譲渡権)を侵害すると主張して,被告に対し,不法行為に基づき,損害賠償金62万3000円及びこれに対する不法行為後である平成28年10月1日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める(本訴)のに対し,被告が,本件本訴の提起を含む原告による過大な損害賠償請求等が不法行為に当たると主張して,原告に対し,不法行為に基づき,損害賠償金9万2200円及びこれに対する不法行為後である平成29年5月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める(反訴)事案である。』
(1頁以下)

<経緯>

H19.11 原告が企画して本件写真素材「コーヒーを飲む男性」撮影
    原告が本件写真素材集CDを訴外ジーアンドイーを通じて販売
H27.10 被告が同人誌50冊販売
H28.07 被告が訴外ジーアンドイー、原告に謝罪
H28.10 原告が少額訴訟で提訴

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■判決内容

<争点>

1 本件写真素材は著作物に当たるか

本件写真素材「コーヒーを飲む男性」は、右手にコーヒーカップを持ち、やや左にうつむきながらコーヒーカップを口元付近に保持している男性を被写体としたものでしたが、裁判所は、写真の著作物性(著作権法2条1項1号)の意義について言及した上で、本件写真素材の著作物性を肯定しています(11頁以下)。

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2 被告は本件写真素材に係る著作権を侵害したか

原告は、被告が本件写真素材を原告に無断でトレースし、小説同人誌の裏表紙のイラストに使用して当該小説同人誌を販売した行為は、原告の本件写真素材に係る著作権(複製権、翻案権及び譲渡権)を侵害したものであると主張しました(12頁以下)。
この点について、裁判所は、複製及び翻案の意義について言及した上で、本件写真素材と本件イラストの相違点を検討。
結論として、『本件イラストは,本件写真素材の総合的表現全体における表現上の本質的特徴(被写体と光線の関係,色彩の配合,被写体と背景のコントラスト等)を備えているとはいえず,本件イラストは,本件写真素材の表現上の本質的な特徴を直接感得させるものとはいえない。』と裁判所は判断。
本件イラストは本件写真素材の複製にも翻案にも当たらず、被告は本件写真素材に係る著作権(譲渡権を含め)を侵害していないと判断されています。

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3 原告は本件写真素材の著作権者か

なお、念のため、として原告が本件写真素材の著作権者かどうかが検討されていますが、結論として、原告が本件写真素材の著作権者ではないと判断されています(14頁以下)。

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4 原告の請求が不法行為に当たるか

反訴請求において、被告は、一連の原告の行為及びこれに伴う原告の説明等が、民法90条によって禁止される暴利行為に当たる不当に高額な損害賠償金をあたかも正当なものであるかのように被告に誤信させる欺罔行為であって不法行為に当たる、と主張しましたが、裁判所は被告の主張を認めていません(16頁以下)。

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■コメント

写真別紙1
別紙1
写真別紙2
別紙2

裁判所は和解を勧めたのでしょうが、原告が当初から高額な損害金を要求している(素材集CD販売価格が75枚入り4万円で1枚トレースしたところ、当初、損害金54万円を請求。その後29万円)経緯からすると、原告は受け容れなかったのでしょう。被告の依拠性が明らかな事案ですが、提訴をしても敗訴(完敗)の可能性があるという点では、著作権事案は結果の趨勢について予断を許さない紛争といえます。
また、そもそも論として、原告が本件写真素材の撮影者から著作権譲渡を受けていたのかどうかについて、本人訴訟ということもあって、原告側から十分な証拠が示されずに終わっています。
個人的な意見としては、別紙1と別紙2を比較してみると、トレースの限界事例で、イメージの盗用ともいえるレベルで東京地裁の結論と同じ、だからこそ和解しておいたほうが完敗はなかったかな、と考えるところです(和解しなかった結果として、判決が公開される公益はありますが)。
仮に(原告が著作権者であることが認定されて)知財高裁で判断された場合、著作権侵害性の肯否の結論がどちらになるかは分からず、写真からトレースしてイラスト化した場合の複製、翻案の限界事例として参考になります。
written by ootsukahoumu at 02:52|この記事のURL知財判決速報2018